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日本人男性の平均寿命は82歳くらい。
俺は22歳だからあと60年くらいは生きる可能性がある。
それまで佐藤さんと夫婦であるためには、少なくとも60億円くらいは必要なことが分かった。
特級魔法使いの佐藤さんの能力を使って俺が稼ぐことは可能らしいが、犯罪行為はNGらしい。
つまり、佐藤さんの催眠魔法を使って銀行強盗をしたり特殊詐欺をするとかは駄目なのだ。
とりあえず、佐藤さんがどんな魔法を使えるのか知る必要があるな。
「まず、魔法には多くのジャンルがあります」
「はい」
「有名なのは攻撃魔法や防御魔法ですね」
「なるほど」
「人間、何事も限界があるように、使える魔法にも限界はあります」
「そうですか」
「特級魔法使いでも6種類の魔法を使えるのが限界です」
「6種類」
十分にすごいと思うけど。
「E級魔法使いは1種類だけですね」
「へー」
だとすると、B級魔法使いが使える魔法は4種ってことかな。
「私が使えるのは、空間魔法、催眠魔法、治癒魔法、攻撃魔法、防御魔法、付与魔法です」
「なるほど。もしかして、使える魔法の強さではなく、使える魔法の数で特級やE級とかになるのかな」
「その通りです」
そうか。
「なので、私の防御魔法がD級魔法使いの攻撃魔法に負けることもあります」
「なるほど」
「防御魔法だけならですが」
「え?」
「空間、催眠、治癒、攻撃、防御、付与。私が使える6つの魔法を同時行使すれば、A級との模擬戦で負けたことはありませんてました」
「A級魔法使いが使えるのは5つの魔法だから」
「そうです。使える魔法が1つ多いと強さは10倍になると思っていいです」
「へー」
それはすごいな。佐藤さん1人でB級魔法使い100人と互角に戦えるってことか。
まあ、その時の地理的要因とか精神状態とかいろいろあるだろうし、そう単純ではないだろうけど。
「プラ電には3人の特級魔法使いがいるよね」
「はい」
「序列とかあるの?」
「……私は序列3位」
「あ、いや、それでもすごいよ」
「勘違いしないでください」
「え?」
「単純に年齢で先に特級魔法使いになった人が序列が上なので」
「あ、強さは関係ない」
「そうです」
なるほどな。
「でも、序列1位の人が佐藤さんの上司ってこと?」
「いえ、私に業務命令できるのは会長と加藤様だけですので」
「そっか」
「A級以下はそれぞれ命令系統がありますけど」
「うん」
「ちなみに、付与魔法は必須です」
「ん? えっと、じゃあ、E級魔法使いが使えるのは付与魔法だけ?」
「そうです。家電の能力アップに付与魔法を使いますので」
「あ、なるほど」
プラ電で売られている家電には魔法がかけられているんだったな。
「模擬戦って、魔法学園でだよね」
「はい。プラ電では社内模擬戦などやりませんので」
それはそうか。
「じゃあ、模擬戦で他の特級魔法使いに負けたことは」
「ありません。同学年に特級は私だけでしたから」
「なるほど」
上級者や下級生とは模擬戦をしないのか。
「すみません」
「え?」
「特級魔法使いの担任に負けたことは、あります」
「あ、うん。それはしかたないよ」
「はい」
佐藤さん、すっごく嫌そうな顔をしている。
よほどの負けず嫌いなんだな。
佐藤さん、身体強化魔法みたいなのは言わなかったな。
「佐藤さんが大きな乗用車でも軽々と持っているのは、空間魔法の応用?」
「はい。重量操作をしています」
「なるほどね」
「使えるのは数秒くらいで、1日に10回とかですよ」
「そうですか」
そりゃあ制限はあるか。
さて、そんな佐藤さんの魔法を利用してどう稼ぐか。
金鉱石やダイアモンドの原石を採掘するとか。
飲食店や小売店とかで年間利益1億とか大変そうだもんな。毎日30万円の利益を出すとか。
徳川埋蔵金みたいな、地下や海底に眠るお宝をゲットするお宝ハンターになるのが手っ取り早い気がする。
そういうお宝は、所有権はどうなの?
調べてみた。
なるほど。埋蔵金の所有者が判明しないものは、土地の所有者と発見者との折半なのな。
「佐藤さん」
「はい」
「俺はお宝ハンターになろうと思う」
「分かりました」
「反対とかしないの?」
「加藤様のお好きなように」
「うん」
これ、反対しないってことは、佐藤さんの魔法でお宝ハンターは成功するってことなのか?
「忘れられている箪笥預金とか、換金忘れの高額当選宝くじ券とか、そのような物なら地下を掘ったり海に潜る必要はないですね」
「あ、なるほど」
時々、ニュースとかであるな。
ごみ処理施設で古い箪笥とかから1000万円発見とか。
ふむ、調べてみたら換金されてない1億円以上の高額当選宝くじ券は、令和4年に6本か。
中には間違えて捨てたりしたのもあるだろうけど。
けど、どうやって探すんだ?
「佐藤さん、忘れられている箪笥預金や換金忘れの高額当選宝くじ券なんて、ピンポイントで発見できる?」
「できると思います」
「だよね……え!? できるの?」
「可能だと思います」
「お宝探しみたいな、そんな事をやったこと、あるの?」
「いえ。会長の命令なしにそのようなことに魔法は使えませんので」
「なるほど。今は俺の命令があればできる」
「はい」
そうか。
空間魔法を使えば可能なのかな。
「会長の落とし物を空間魔法で探したことがあります」
「見つかった?」
「異世界で落とした物以外なら、だいたいは」
「なるほど。会長さんって落とし物が多いのかな」
「たまに落としたり忘れたりするようです」
「なるほど」
空間収納や物品の空間移動、重量操作に落とし物探し。
佐藤さんの空間魔法は応用範囲が広そうだ。
「空間魔法でそれくらいできるのは、特級魔法使いでも私くらいです」
ドヤ顔の佐藤さん。
「そうなんだ、すごいね」
「1番得意な魔法なので」
ますますドヤ顔の佐藤さん。
うん、たくさん褒めておこう。
たくさん褒めたら、いつもよりエッチのサービスが良かった。
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