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佐藤さんが得意とする空間魔法の力を借りて、俺はお宝ハンターになることにした。 俺の性格や適正的に商売とか投資とか無理だと思ったし。 箪笥預金をしていた人が亡くなって、箪笥の中で忘れられているお金や、換金忘れの高額当選宝くじとかを見つけようと思うのだが。 思うのだが、そういうのって発見した俺にも半分もらえる権利はあるのだろうか? 埋蔵金とかは発見者に半分もらえる権利があるそうだけど。 「私が相手と交渉するので大丈夫です」 「してくれるの?」 「はい」 それは助かる。 「その場合、相手から加藤様への贈与になるので贈与税が半分取られますけど」 「とすると、1億円の宝くじ当選券を発見したら俺の取り分は2500万円?」 「いいえ、2250万円です」 「ん?」 「250万円は私の取り分です」 「あ、なるほど」 でも、1割の取り分でいいのか、佐藤さん。 普通に考えたら俺の取り分が1割でも多いかもだけど。 「会長から『君の取り分は1割ね』と言われております」  「なるほど」 会長の指示なのね。 「まずは1億円以上の現金があるお宅を訪問しましょう」 「え?」 「だいたいそんな現金を家に置いているとか、だいたいは脱税していると思います」 「そう?」 「はい」 そうなのか。 まあ、普通はそんな大金を家に置いてないもんな。 それに、ちゃんと税金は納めてもらわないとみんな困るしな。 「まずは、大物政治家の家からにします」 「大物政治家?」 「はい。だいたい大物政治家はたんまりと裏金を地下金庫とかに貯め込んでます」 「そうなんだ」 「はい」 そうなのか。 大物政治家が地下金庫にたんまりと貯め込んでいる裏金を見つけるのは簡単だった。 佐藤さんが催眠魔法を使って自白させたから。 ちゃんと雑所得として修正申告させて、そのうちの半分を俺に贈与してもらった。 10人の大物政治家から贈与してもらった総額、なんと30億円。 皆さん、たんまりと貯め込んでましたな。 ちゃんと贈与税を払って15億円をゲットしました。 1割は佐藤さんに贈与するけど。 裏社会の大物組長さんたちの裏金ももらおうかと佐藤さんが言うので、それはお断りした。 あとが怖いもんな。 反社会的勢力の人たちのお金には関わらないほうが無難だろう。 俺と佐藤さんなら何とかなるとしても、両親とか心配だし。 で、主に領収証なしの現金取引きをしている商売人や農林水産業の人たちをターゲットにすることにした。 そういう人たちは所得を過少申告していることが多いらしい。 ついでに忘れられている箪笥預金や換金忘れの高額当選宝くじ券を探したりするけど。 どこかの有名なたこ焼き屋さん、年間に1億円くらいの売り上げを過少申告していたとか、そんなニュースがあったような。 流石にそれは税務署に目をつけられて発覚したらしいけど。 年間に100万円くらい過少申告して、何年も何十年も過少申告して、それで数千万円くらい地下金庫とかに貯め込んでいる人がわりといた。 うーむ。日本は脱税天国なのだろうか。 そのようなちょい悪な人たちを佐藤さんの催眠魔法で目を覚ませ、ちゃんと修正申告させる旅をしています。 そして、残ったお金の半分をなぜか俺が贈与してもらうという。 まあ、すごく助かります。 国も税収が増えて助かると思うし。 「みるくさん」 「はい」 「そろそろ大事なことを聞きたいと思う」 「はい」 「君が好きなのは俺なのか、俺の筋肉なのか」 「筋肉、いえ、氷狩さんの全てに決まってます」 筋肉って言ったよね? 「もしもさ、俺よりすごい筋肉がいたら、俺と別れてそいつと結婚したりする?」 いや、俺と佐藤さんはまだ結婚してないけど。 「氷狩さんよりすごい筋肉はいないと思います」 「そう?」 「1万人以上は調べたので」 「1万人?」 「はい」 どうやって? 「いきなり階段から落ちて受け止めてもらいました」 「えっ?」 「氷狩さんより安定して受け止めてくれる人は皆無でしたよ」 「なるほど」 危ないことを。 「それ、魔法使いになってからだよね」 「もちろんです」 だよな。 万が一、受け止めてもらえなくても空間魔法や防御魔法で何とかなるだろうし。 それなりの筋肉を1万人以上は確かめた上で、俺の筋肉が1番だったのか。 そうか。嬉しいようなそうでもないような。 「もともと、みるくさんは筋肉が好きだったの?」 「黙秘します」 「うん」 もともと筋肉フェチだな。 正式に婚約した俺と佐藤さんは、今は本格的なエッチもしている。 しかし、避妊はしている。 結婚式をする前に妊娠はちょっと、もあるけど。 ちょっと懸念があるのだ。 俺の筋肉はどう考えても普通とは違う。 思いっきり包丁で刺されても、少し皮膚が切れるくらいだし。 車にはねられても、地面に転がった時に少し皮膚が擦り切れたくらいだったし。 中学生の頃に信号無視の車にはねられたことがあるのだ。 こんな俺のDNAを子供に引き継がして何か変な障害とか起こらないのか。 「みるくさん、鑑定魔法が得意な魔法使いを知らない?」 「え? 何か鑑定したいのですか?」 「うん、俺を」 「お菓子のオレオ? 腐ってないとか?」 「いや、俺は子供を作っても大丈夫なのか」 「大丈夫か、とは」 「ほら、俺って何ていうか筋肉超人というか」 「はあ、それが」 「こんな特異体質な俺が子供を作っても大丈夫かと」 「鑑定してほしいと」 「うん」 ちょっと考える佐藤さん。 「氷狩さんの超人体質って、プラ電の家電効果だと思いますが」 「え?」 「プラ電効果で超人になった人たち、何人か子供を作ってますけど特に異常とか聞いてませんね」 「はい?」 プラ電の家電効果で超人体質に? どういうこと?
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