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西暦2030年、地球に地球外から来たと思われる集団がやって来た。 超大型の宇宙戦艦みたいなものが3つ。 宇宙戦艦みたいな物の単位は何なのか知らないから3つで。 アメリカ大陸、アフリカ大陸、中華人民共和国の上空に現れたようだ。 その宇宙戦艦からロボットみたいものが無数に出てきて地球各国の大地に降り立った。 もちろん日本にも。 俺もそんな光景をニュースや自分でも見ていたけど、どう考えても地球外生命体とかの宇宙戦艦やロボットだろう。 ロボットはリモートコントロールされているのか、地球外生命体が中にいて操縦しているのかは分からないけど。 相手は地球各国のテレビ電波等をジャックし、各国の言語で地球植民地化計画を発表した。 約85億人ほどの地球人類は多すぎるので、55歳以上や犯罪歴のある人は殺害するとか。 世界各国の55歳以上の人々、特に政治家や上級国民たちは激しく怒り抵抗をする。 しかし、アメリカ軍や自衛隊など相手にならない。 地球文明より遥かに高度な機器や装備の相手たち。 55歳未満の地球人類や犯罪歴のない人は抵抗するのをやめた。 光速を超えて動けるプラ電の会長は、敵対しようと思えば相手の宇宙戦艦やロボットを倒せたかもしれないが、倒せる保証もないので逃げることにしたらしい。 俺と佐藤さん、この週末は結婚式だったんだけどね。 結婚式をする日は、俺と佐藤さんが出会ってからちょうど1年目の日だ。 もちろん、結婚式は中止となった。 地球外生命体からの地球侵略がおきたのだから、結婚式がどうとか言ってられないけどね。 そのうちに地球人類は管理されて強制労働されられたり、どこかの星へ奴隷として売られたりするのではとの噂も広まる。 家畜みたいに飼われて食料にされたりするのでは、とか。 殺される対象者は一瞬で蒸発して消えるようだから、食料にされることはなさそうだけど。 会長に「もう、異世界に行っちゃう?」と聞かれた。 異世界か。そうだよな、こんな状況なら異世界に行くほうが良いのかもしれない。 異世界で奴隷にならない保証はないけど、特級魔法使いの佐藤さんが一緒なら大丈夫かと。 俺達、一部のプラ電関係者だけプラ電会長に異世界へ避難させてもらうことになった。 プラ電会長は光よりも速く動けるので時空を超えて異世界へも移動できるのだ。 宇宙広しといえども、異世界へ自由に移動できるのは会長だけなのかもしれない。 会長が異世界避難させたのは、異世界への避難を希望した独身の魔法使いたちだけ。 特別会員の俺は特別に異世界避難させてもらえた。 俺の両親は残念ながら地球へ置いてきた。 兄貴は犯罪歴があったから殺されてたし。まあ、それはしかたない。 魔法使いでも結婚していて配偶者や子供がいる人は異世界避難させてもらえなかった。 残念だけどこれもどうしようもない。 そもそも人は交通事故とかで突然に死ぬこともあるわけで、昔は平均寿命が50歳とかだったし。 そもそもといえば、そもそも誰も助けない選択も会長さんはできたのだから。 助ける助けないをどこかのラインで引かないときりがないだろうし、時空を超えれる回数や頻度にも限界があるのかもしれないし。 俺が地球に残された人たちのことをあれこれ考えてもしかたないし、俺は異世界で生きていくしかないわけで。 「氷狩さん、ご家族のことは残念でした」 「まあ、うん。でも、それはみるくさんの親しい人たちもだし」 「そうですね」 俺は、こういう問題に対して精神耐性があるのだろうか。それほど悩むことはない。 人間なんていつかは死ぬし、って感じだな。 「氷狩さん、『何とか両親も異世界避難させてもらえませんか』ってもっと強くお願いするかと思いました」 「うん、まあ、しかたないし」 みるくさんはプラス家電株式会社の社員だだったけど、こっちの世界ではどうなるのだろうか。 「会長から『好きに生きていいよ』と言われてます」 「あ、そうなんだ」 「はい」 「なら、もう俺も特別会員じゃないと」 「そうですね」 じゃあ、年会費の1億1000万円は払わなくていいのか。 「100万円で良いそうです」 「え?」 「会長、異世界避難させた人から年間100万円を徴収するそうですよ」 「そっか。まあ、それくらいなら安いよね」 「そうかもですが、こちらでは日本円は使えませんし両替もできません」 「あっ、そうなのか」 日本円なら10億円くらい、みるくさんの空間収納に預けているんだけど。 「純金も貯めておいて良かったですね」 「あ、金があるんだ」 「そうですよ」 そう、純金を50億円分くらい、みるくさんの空間収納に貯めていたのだ。 「こっちの世界でも金は使える?」 「もちろんです」 純金はこの異世界でも貴重な物なのだろうか。 「金は魔法行使の対価にも使えますから便利なのです」 「ん? 魔法を使うのに対価として金とかを使うの?」 「はい。私は魔法を使う時には金を対価にしてたんです」 「それは知らなかった」 体内にある魔力や空気中の魔素とかで魔法行使しているのかと。 「私の場合、空間収納している金を取り出さずに消費してたので」 「なるほど」 魔法の対価としての金消費を自動化してたんだね。 とりあえず50億円分くらいの純金はあるから、魔法の対価や金銭的な面では異世界生活の不安はないのかな。
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