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地球外生命体の地球襲来から〜の流れで異世界に避難した俺。 時空を超えて動けるプラス家電株式会社の会長さんに避難させてもらえたのだ。 俺はプラス家電株式会社の特別会員だったからね。 入会費と年会費を2年分、2億2000万円払っておいて良かったよ。 避難した先はイグール王国。 魔法や剣とかのファンタジー感覚な王国だ。 数十年前に、のちのプラス家電株式会社会長を勇者として召喚した王国。 王国というか惑星全体がファンタジーみたいなものなので、こっちの世界には家電がない。魔道具とかの便利グッズはあるけど家電はない。 家電大好き人間の俺にとっては残念だ。 無いものを言ってもしかたないけど。 魔法や魔道具があるから、これから俺がどうにかして家電を作っても普及しないかもしれないし。 地球から持ってきた家電はあるから、それらは使えるけど、俺の趣味である家電量販店に行くことができないのがつまらない。 婚約者の佐藤みるくさんは、イグール王国にある魔法学園に5年間留学していた経験があるそうだ。 「みるくさん、こっちに友人とかいるよね?」 「友人……」 この顔はいなさそうだな。 「いないの?」 「はい。魔法学園を卒業したら地球に帰るのは決まっていたので、あえて親しい友人とかは」 「なるほど」 作らなかったのか。 「それに、友人と遊ぶようなことをしていたら特級魔法使いになんてなれなかったと思うのです」 「なるほど」 みるくさんは、この世界で最高峰と呼ばれるイグール王都魔法学園を首席卒業した特級魔法使いだ。 1日の大半は魔法の勉強や特訓をしてたんだろうな。 とりあえず、住む家を何とかしないと。 みるくさん、こっちの不動産屋とかに伝があるだろうか。 会長さんからは「これからは年に一度、集金に来るくらいだと思う」と言われたし、会長さんをあてにはできなそうだ。 「まずは貴族になります」 「え?」 「イグール王都魔法学園の首席卒業生は平民でも貴族になれるのです」 「へー、そうなんだ」 「貴族と言っても最下位の準貴族みたいな騎士爵ですが」 「それでも貴族ならいろいろ特典がありそうだよね」 「まあ、ありますね」 市役所みたいなところで、イグール王都魔法学園首席卒業生の証明書を見せたみるくさん。 みるくさんは貴族になった。 身分証明書とかなくて本人だと分かるのだろうかと思ったけど、「イグール王都魔法学園首席卒業生から首席卒業証明書を盗んで貴族登録をするような人はいないと思います」と。 まあ、そらそうか。 特級魔法使いの大切な持ち物を盗むなんて、特級魔法使い以上じゃないと無理そうだし。 貴族なので家も簡単に借りることができた。 しかし、電気がない。 電気がないと家電が使えないので、ネットもテレビも見れない……異世界だからネットもテレビも見れないのか。 だとすると、俺はかなりひまになるな。 「ダンジョンの攻略でもします?」 「え? ダンジョンって、あのダンジョン?」 「たぶん、そのダンジョンです」 そうか、さすがは異世界だ。あのダンジョンがあるのか。 でも。 「俺、魔法も剣も使えないけど」 「問題ないですよ」 「そう?」 「はい」 そうか、特級魔法使いのみるくさんが一緒だから問題ないのか。 俺はみるくさんとダンジョン攻略をすることに。 冒険者ギルドに登録する必要があるらしい。 特級魔法使いのみるくさんは簡単に冒険者登録できた。そのみるくさんの推薦で俺も簡単に冒険者になれた。 特級魔法使いのみるくさんは、最初からS級冒険者。俺は最下級のF級冒険者だけど。 みるくさんがギルド職員に「氷狩さんは私より強いです」と言ってくれたけど、俺は魔法学園も冒険者学園も卒業してないからF級からスタートらしい。 冒険者ギルドで定期的にやる実技試験に合格すれば実力に応じた級位者になれるけど、試験料もいるし面倒だし、俺はこっちの言葉が分からないし。 それに、俺が特級魔法使いのみるくさんより強い? いやいや、みるくさん。嘘はいけないよ。 基本的にダンジョンは4人以上のパーティーでないと入れないけど、S級冒険者は単独でも入れるとか。 ダンジョンは世界各地に点在するが、ダンジョンにもいろいろあるようだ。 初心者冒険者向けから上級冒険者向けまで各種。 都合よく、上級冒険者しか入れない上級ダンジョンが王都近くにあるので、俺とみるくさんはそのダンジョンに入ることにした。 近くと言っても徒歩で片道2日はかかるけど。 俺は散歩が好きだし、乗り合い馬車に乗るのはどうかと思い、徒歩で行くことにした。 「で、ダンジョンってモンスターを倒すの?」 「それもあります」 「それも?」 「隠し部屋を見つけると宝箱があったりもします」 「へー」 「モンスターを倒すとお宝がドロップします」 「ほう」 「ランダムですけど」 「ランダムって、運が悪いとまったく」 「はい。100体のモンスターを倒しても、ダンジョンボスを倒してもお宝ドロップしないこともあるようです」 「ダンジョンボスでも?」 それ、ひどいな。 「でも、ダンジョンボスなら10回のうち9回はドロップするので高確率です」 「うーん」 ダンジョンボスを倒しても10%はハズレ。それ、高確率なのか? 「運が良いとスライムから国宝級のお金がドロップするとか」 「なるほど」 「おそらく100億回に1回くらいの確率で」 「うん」   まあ、だろうね。 ダンジョンボスをお宝ドロップ率100%にすると、他のモンスターからお宝がドロップしないので、そのように割り振りしてるのだろうけど。 納得できるようなできないような。
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