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地球が地球外から侵略されたので、俺は異世界に避難した。
婚約者の佐藤みるくさんも一緒だ。
こちらの世界では趣味や遊ぶようなことが少なく暇なので、ダンジョン攻略をすることに。
ダンジョンがあるのは異世界あるあるなのだろうか。
そして、みるくさんはダンジョン攻略経験があるのだろうか。
「初級ダンジョンなら100回以上は」
「そんなに?」
「イグール王都魔法学園の敷地内に初級ダンジョンがあって、授業でダンジョン攻略がありましたから」
「なるほど」
学園の敷地内にダンジョンがあるのか。
「お宝とかゲットした?」
「それが」
「が?」
「生徒が学園ダンジョンで得たお宝はすべて王国に没収されるのです」
「あー、残念だね」
「国宝級のお宝も1つあったんですよ」
「それはすごいな」
初級ダンジョンで国宝級のお宝をゲットするとは、みるくさんは運が良いのだな。
いや、没収されたから運が悪いのか?
授業でゲットしたお宝だから没収なのだろうけど。
しかし、初級ダンジョンしか経験のないみるくさん。いくら特級魔法使いといえど、いきなり上級ダンジョンに入って大丈夫なのだろうか。
「モンスターの強さや隠し部屋を見つけるとかの難度が上がるだけで、その仕組みは上級ダンジョンも下級ダンジョンも同じようなものです」
「そっか」
なら、大丈夫そうだ。
ダンジョン攻略に必要な装備や飲食物とかは、みるくさんが空間収納してくれるから手ぶらでいける。
なんて楽ちんなんだ。
荷物持ちの人員を雇うお金が不要になるし、空間収納魔法持ちはいいよね。
と思ったけど、空間収納魔法を行使するのに対価で純金とか消費するから、予算的には荷物持ちを雇うのとあまり変わらないとか。
でも、人間関係に気を使うことや、荷物持ちの安全に気をつけることが不要になるからやはり楽だよな。
移動中の休憩とか宿泊とかは、みるくさんが空間収納からプレハブ小屋みたいなのを出してくれるし。
ちゃんとトイレやシャワーもついている。
あ、トイレの排泄物はどうするの?
排泄物も空間収納することになるよね?
俺の排泄物も空間収納してもらうのは、ちょっと、いや、かなり悪いと思う。
「空間魔法を使って自宅の排泄物タンクに移動させます」
「なるほど」
そのような方法が。本当に空間魔法は便利だな。
ダンジョン前の広場に到着した。
たくさんの冒険者パーティーが入場の順番待ちをしている。
俺達も受付をすませて列に並んだ。
まるでテーマパークみたいだ。
テーマパークと違うのは、下手すると死んだりするけど。
テーマパークでも事故で死ぬこともあるけど、テーマパークで死ぬよりダンジョンで死ぬほうがはるかに確率は高いだろう。
それでも冒険者たちがダンジョンに入るということは、それなりにリターンがあるからだろうな。
こっちの世界の人類の平均寿命は日本より長いらしい。
日本みたいな最先端医療はないけど、病気や怪我を治す魔法やポーションがあるので、そう簡単には死んだりしないとか。
で、多くの人はだいたい35歳くらいまで冒険者をして、それからは自営をしたり勤め人になったりするらしい。
冒険者で運良く国宝級のお宝をゲットしたら、死ぬまで豪遊できるとか。
それはみんな冒険者に夢を見るだろう。
俺も運良く国宝級のお宝をゲットして、死ぬまでのんびりと生活したいもんだ。
ダンジョンの入り口に扉とかないようだけど、ダンジョンの中は何も見えない。
真っ暗だ。
順番になり、俺とみるくさんはダンジョンに入った。
1つ前に入ったパーティーから1分くらいしないと中へ入れないらしい。
硬いレンガでできた地下通路みたいな感じだな。照明はないようだけど普通に明るい。
で、所々に扉がある。
つかつかと進むみるくさん。
「俺達が入っていい扉とか決まっているの?」
扉に番号とか表示してないけど。
「いえ、好きな扉を開けて入っていいですよ」
「そうなの?」
「はい。でも、入り口近くの扉は多くのパーティーが入る可能性が高いので、混んでいる可能性が高いです」
「あ、なるほど」
でも、そう考えてみんな奥のほうの扉に入るとかしたりして。
混んでいたら別の扉に行くとか。
「一旦入ると、最低8時間は外へ出れません」
「あ、そうなんだ」
うーん。どの扉に入るかも運任せなのか。
どうやら、この世界のダンジョンは地下階層ではないらしい。
100メートルくらいある通路の左右に多くの扉があり、その扉を開けるとランダムな場所に出るようだ。
「照明が少しずつ暗くなってから完全に暗闇になるまで約10秒。それまでにどこかの扉を開けないと、どこかへ飛ばされます」
「え?」
なら、早くどこかの扉を開けないと。
あ、照明が暗くなってきた。
「ここにしましょう」
「う、うん」
中間より少し奥側の扉を開けた。
「ここは」
扉を開けると、そこは雪国だった。
少し雪が降っている銀世界だ。
吹雪じゃなくて良かった。
「まるで雪国ですね」
「うん」
雪女や雪男みたいなモンスターが襲ってくるのだろうか。
「氷狩さん」
「うん?」
「服を全て脱いで」
「はい?」
「靴も」
「いや、えっと……」
え? ここでエッチなことをするの?
「しません」
「う、うん」
だよね。
「防御魔法が使えない氷狩さんは、モンスターと戦うと服が破れますし、こんな雪では運動靴は動きにくいです」
「なるほど。それは分かるけど、寒いよね?」
「氷狩さん、寒いですか?」
「まあ、うん」
「寒くないと思ってください」
「いや」
「早く」
「あ、うん」
(寒くない、寒くない)
あれ?
寒くなくなった?
「寒くないけど」
「氷狩さんの身体は意思の力で暑さ寒さも感じなくなります。もちろん痛みとかも」
「そうなの?」
「はい」
そうなんだ。
魔法も使ってないのにどうなってるの、俺の身体は。
異世界ダンジョンより不思議かもしれない。
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