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異世界のダンジョンモンスターを倒して最初にドロップしたお宝は、超ウルトラ激レアのスキル100万倍レインボールだった。
初回特典ボーナスみたいな気がする。
そんなボーナスはないだろうけど。
ギャンブルのビギナーズラックみたいなものか。
それで俺の筋肉は100万倍になった。
いや、筋肉が100万倍になって巨人になったのではない。腕力や瞬発力とかが100万倍になったのだ。
なんなら、視力や聴力とかも100万倍になった。
ようするに、身体能力が100万倍になったようなのだ。
しかし、無意識に100万倍の力を出すわけではないようだ。
常に100万倍の力だと、普通の生活にも支障が出かねない。
みるくさんの手を握ると、骨折どころか粉砕してしまう。
意識して力の出力を調整できるようなのだ。
これは助かる。
さらにスキル100倍くらいの超激レアレインボールをゲットすれば、合計で1億倍になって俺は光速を超えて時空を超え、地球へ行けるらしい。
そして、地球を侵略した奴やを倒せるかもしれない。
みるくさんの計算では、だけど。
倒せそうになかったら、また異世界に避難すればいいし。
「スキル100倍のレインボールって、そこそこドロップするの?」
100年に1つとかだと困るけど。
「私が知る限り、過去にドロップしたレインボールは最高で100倍です」
「そうなの?」
「はい。そのドロップ率は全てのダンジョンで30年にひとつくらいだとか」
「あ、そうなんだ」
30年。俺は53歳になってしまうな。
「確率ですから、今年や来年にドロップするかもです」
「あ、そっか」
スキル10倍くらいのレインボールならたまにドロップするようだし、合計で40倍くらいになれば俺は光速を超える筋肉になる計算だ。
地球からこの異世界に避難してきた他の魔法使いたちにも協力をお願いすれば。
他の魔法使いたちに連絡つくのだろうか。
「レインボールは高く売れますし、自らのスキルアップに使うかもですね」
「まあ、そうだよね」
地球を捨てて避難してきた魔法使いたちだもんな。
地球侵略者たちに勝てるか分からないのに、俺に協力してくれる保証はないか。
「いちおうは会長に手紙を送っておきます」
「会長の住所、分かるの?」
「空間魔法で会長の服のポケットに手紙を転移させます」
「なるほどね」
会長さんもダンジョン攻略しているのだろうか。
「会長はこの世界の元勇者ですから、S級冒険者の資格もあると思います」
「まあ、だよね」
レインボールゲットの協力者が多いほうが助かるし。
そう言えば。
「俺が握りつぶした硬い金属、あれは何?」
「ダンジョンの隠し部屋で採掘できる鉱石を製錬したものです」
「へー、そんなの持ってたんだ」
「氷狩さんなら握りつぶせるかなーと思って買っておきました」
「いくらしたの?」
「日本円で1億円くらい」
「……」
俺、1億円の物を握りつぶしたのか。
「破片は全て回収したので大丈夫ですよ」
「あ、うん」
そう言えば、みるくさんが空間収納していたな。
冒険者ギルドや資材屋さんとかで買い取りしてもらえるのだろうか。
それから俺とみるくさんは、毎日のようにダンジョンに入った。
1ヶ月がすぎ。
「今日もレインボールはドロップしなかったね」
「隠し部屋を見つけただけでしたね」
「うん」
そう、今日はダンジョンの隠し部屋を見つけたのだ。
隠し部屋に入るには、多くの迷路や罠を突破しないと入れない。
そもそも、隠し部屋ステージにはなかなか入れないのだ。
扉を開けると99%はモンスターステージらしいのだ。
俺は今日、初めて隠し部屋ステージに入ったし。
迷路なんて、俺が壁を殴って壊して真っ直ぐ進んだしね。
多くの罠も俺が殴って壊したし、みるくさんも魔法で回避とかしてくれたし。
「隠し部屋ステージ、壁を壊して真っ直ぐ進めば簡単だよね」
「ダンジョンの壁を壊すなんて、氷狩さんにしかできませんよ、そんなの」
「そうなの?」
「もちろんです」
そうなのか。
隠し部屋の中には宝箱があったり珍しい鉱石があったりするらしい。
今日の隠し部屋には大きな宝箱。
もしや、中にはレインボールが?
と思ったけど、普通に金塊だった。
いや、金塊でも嬉しいけど。
金塊は300キロくらい。
日本円にしたら30億円くらいか?
5人パーティーなら1人6億円。
まあ、死ぬまで豪遊はできないけどそこそこの生活はできるよな。
そもそも、隠し部屋には滅多に入れないらしいし。
「隠し部屋ステージは時間制限がありますからね」
そう、隠し部屋ステージは時間制限があるのだ。
入って8時間たつと、強制的にダンジョンの通路に転移させられるとか。
しかし、ダンジョンはお宝とかをドロップするけど、その原資はどうなってるのだろうか。
「ダンジョンは人の魔力を吸い取っているようです」
「魔力を?」
「はい。長くダンジョンに入っていると魔力を全て吸い取られます」
「へー。人から吸い取った魔力を使って、ダンジョンは魔法を使ってるのかな」
「そうですね、人からだけでは足りないと思いますけど」
「まあ、地面や大気から吸い取ってそうだよね」
「はい」
おそらく、ダンジョンは魔法でいろんなお宝をドロップさせてるのだろうな。
魔力を吸い取られるのって、どんな感覚なんだろ。
「私は慣れましたけど、最初はすごく気分が悪くなりましたね」
「ん? 俺は何ともなかったけど」
「だって、氷狩さんは魔力がないですから」
「え?」
「魔力がまったくないので、氷狩さんはダンジョンに魔力を吸い取られませんよ」
「そうなのか」
「はい」
「なんだかダンジョンに悪いね」
「そうですね。一方的にお宝を奪っていく感じですもんね。壁とか壊されますし」
「う、うん」
これからは、もう少し優しく壁とか壊そう。
いや、どのみち壊すけど。
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