甘い葡萄

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「______遂に自ら身を戦地に運んだか、魔王。」 『………お前が大魔法使いフルールか………。』 狙いは私だろう、ここまで魔王軍や魔族たちの歴史を変えてきたのは、多分私しか居ない。 勿論、魔王軍や魔族たちからすれば、私は生態を動かした、酷い奴にしか思えないはずだ。 そう考え、フルールは魔王へ杖を向ける。 「____魔王_。お前は、ひとつの生命として、この世に存在してはならない程、沢山の命を殺してきた。」 「この星のあらゆる”当たり前”を壊した罪がどんなに重いことか……______、自身で理解しているのか?」 魔王は、表情ひとつ変えず、私をギロりと見下した。 『無論、お前は吾の狙いが自分自身だと思っているのであろう?………』 何か言いたげな、その顔に、私は気がついてしまった。 昔、師匠(せんせい)に聞いた事がある。 この国の皇子・皇女となる人々、いわゆる皇室の人々、その人々には、魔族すら使えない、分かりもしない、膨大な力を持つと、 言い伝えがある、と。 つまり、魔王の狙いと言うのは、 皇子エテルニテなのだ。 魔族たちは、自分より強く、高くある強い存在に目を引かれる習性がある。だから、高みを目指して天敵である人間を多く殺し、 力を手にしようともがくのだ。 だから、皇室の人々を求める。
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