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こいつ、今すぐ消えねえかな。
「丸山!聞いているのか!」
「はい」
「返事だけだろう、まったく、とにかくこの間違いを訂正して先方にお詫びしておくように」
「はい。……申し訳ありません、高橋課長」
返事だけって、なんだよ。返事をしなければしないで怒られるのに返事をしても怒られる。子供でないのでいちいち褒めて欲しいなんて言わないが理不尽に怒られるのはストレスが溜まった。
「見て、リキシがまた怒られてる」
「やばいよね」
「ああなったら終わりって感じ」
リキシというのは丸山のあだ名だ。
肥満体型が相撲取りに似ているとかいう理由でそう呼ばれる。陰口しか取り柄のないこいつらも消えればいい。通り過ぎざま女社員をにらんで席に戻った丸山は鈍い動きで業務に戻った。
働き方改革が叫ばれて久しいが改革されるのはエリートの働き方で丸山のような底辺には無関係な話だ。ひたすらデータを入力しているとずれた指がキーボードの横にある物体に触れる。
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