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「好きな女ならともかく、どこの誰かも分からない、女の裸を見たって
仕方ないと思うけど」そう言うセイジに
「お前は、まだまだ子供だな」と、ベニーが言うと
「どうせ、赤ん坊の芽ですから」と、セイジは、言い返す。
『口だけは、一人前だな』と、ベニーは可笑しくなる。
「風呂は、どうだった?」と、聞くと
「ベニーさんが、泳げるって言うから、泳いでいたら、怒られましたよ」
と、頬を膨らませる「私は、泳げるほど広いと言ったが
泳げるとは、言っていないぞ」「言ったも同然ですよ」
そう言ったセイジは「あ、旨そうな瓜だ」と、傍に有る、店を指さして
「ベニーさんのお陰で、怒られたんだから、あれ、買って下さい」と、言う
「しようの無い奴だ」ベニーは、瓜を買ってやり、自分の分も買う。
セイジは、あっという間に食べ「旨かった~」と、口を手で拭いた。
「郊外にある、農地は肥沃で、美味しい野菜や果物が、採れるんです」
店の主人は、そう教えてくれた。
「そうか、60年前は、そうでも無かったが、その後
農民が、頑張った様だな」と、ベニーは、宿へ戻りながら呟く。
「60年前って、、ベニーさん、ここへ来た事が有るのか?」
セイジが、聞き咎めて言う。
「ああ、長く生きているからな、大抵の所には、行っている」
「ふ~ん、でも、17か18歳位の姿で、60年前って言っても
ピンと来ないな~」「まぁ、そうだろうな」
「何で、姿は変わらないんだ?」「私は、不老不死だからな」
「ええ~っ本当に?本当に、そんな事が、有るのか?」
セイジは、目を丸くする。
そして「良いな~」と、言う、ベニーは、そのセイジに
「セイジ、良い事と悪い事は、背中合わせなんだぞ」と教える。
「何でだよ、ずっと若くて死な無いなんて、良い事しか無いじゃないか」
「そうかな、家族は勿論、こうして、知り合った皆も、全部先に死ぬんだ。
この世界中の人間が死に絶えても、私だけは、生きているんだぞ」「、、、、」セイジは、何も言わなくなった。
思っているより、良い事じゃ無いかも知れない、そう思った様だ。
宿に帰ったベニーは「私は、明日、この街を出る。
お前とも、明日の朝までの付き合いだ」と、言った。
「えっ、もう?来たばかりなのに、、」そう言ったセイジは
「なぁ、俺も付いて行って良いだろ?」と、聞く。
「駄目だ、私と一緒だと、色々な事件に巻き込まれたり
魔物に襲われたりするからな」ベニーは、きっぱりと断る。
「そんな事になっても、構わないからさ~、な~良いだろ?」
「駄目だと言ったら、駄目だ」「ちぇっ、ベニーはケチだな」
「ケチで良いから、もう寝ろっ」「へいへい」
セイジは、ぶつぶつ言っていたが、それでも眠ってしまった。
朝になった、まだセイジは寝ている、ベニーは、こっそり起きだすと
そのまま宿を出て、郊外へ向かう。
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