天から俺に降ろされたもの

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俺はどうなるんだろう… 俺は今、壊れた舟に乗って、海を漂っている。 小型のフィッシングボートを借り、釣りをしていた。 日の出前から海に出て、結局1匹もつれないまま昼過ぎになり、そろそろ帰ろうとエンジンをかけたら、モーターが動かなかったのだ。 そのまま、どんどん流され、今に至る。 ここはどこだろう… スマホをみると、バッテリーが切れている。 時計代わりにしていたから、時間もわからない。 俺は運を天に任せるしかないのか。 流されるままに、波間を漂う。 俺はふと目を覚ました。 ボートは砂浜に打ち寄せられたようだ。 そして、今は朝のようだ。 ここは、どこだ? 誰もいない。 まさか、太平洋にうかぶ無人島、なんていうことは、ないよな。 お腹すいたな… 食料は既にない。 釣りながら食べてしまった。 あとは…釣り餌、か。 パワーイソメでも食ってみるか。 腹が減って、グミに見えてきた。 ウェッ!マジィ。 食えたもんじゃねえ。 そりゃあな。 匂いと味をつけた擬似餌だもんな。 なんとしても、魚を釣るぞ。 俺には、釣り竿がある! 俺は、とりあえず、 ボートを波のあたらない場所までひきあげ、 荷物をすべて持ち、 海岸線をずっとあるいていった。 砂浜が終わると、岩場に出た。 こういう岩のかげに、魚が集まるんだ。 ここにしよう。 岩によじ登り、釣り糸を垂らす。 しばらく待つが、釣れない。 釣り竿を岩の隙間に挿してそのままにし、 岩場をうろうろしていると、 小さな巻貝がたくさんはりついているのがみえた。 火を通せば食べられそうだ。 火を起こそう。 乾いた小枝や流木をあつめにいく。 石をあつめ、炉を組む。 細い枝に火をつけ、少しずつ太い木をくべていく。 なんとか焚き火になった。 釣り糸を結ぶときに使うかと、ライターを持ってきていてよかった。 岩場に戻ると、巻貝をひっぺがし、 海水を入れたクーラーボックスにどんどん放り込む。 案外まとまった量がとれた。 それらをひとつかみ、焚き火に突っ込む。 しばらくしたら焼けるだろう。 竿はどうだろうか。 様子をみにいく。 が、やはり何も釣れていなかった。 俺には釣りはつくづく向いてないらしい。 釣り船で沖まで出ても釣れない男が、岩場で釣れるとは思えない。 焚き火に戻ると、巻貝たちは身をきゅっとしまいこみ、蓋をしていた。 焼けたんだかなんだか、よくわからない。 とりあえず一つ取り出す。 ナイフで先を削った小枝でつついて蓋をはがし、ほじってたべる。 うまい。 酒がほしくなる。 だが、全く腹が満たされない。 数はあっても、小さすぎるのだ。 ほじるのがめんどくさい。 が、焼いた分は頑張って全部食べた。 残りは、まだ元気に動いていたので、クーラーからひっぺがして岩場に返した。
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