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「気が付いたら、あなたらしさを全部好きになっていました」
小安はすぐに言葉が見つからないのか、照れ臭そうに、それでも目を逸らさずに美星を見つめている。
「あの、どうか食べてください。小安さんとお付き合いしたくて、本命チョコのつもりで作ったんですけど」
待ち合わせたわけでない、けれど小安は苦楽を共にする旅に美星を誘いに来てくれた。
静寂の中、壁時計の音が美星の耳に届いた。ちどりがわの鼓動は、新しい時を刻み始める。
「ありがとうございます。本当に、受け取っていいんですね。俺の気持ちは、もう止まりませんから」
ようやく喜びを実感した美星と小安は、安堵の溜息を漏らした。
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