第五話 未来を紡ぐダイヤグラム

38/41
前へ
/128ページ
次へ
「気が付いたら、あなたらしさを全部好きになっていました」  小安はすぐに言葉が見つからないのか、照れ臭そうに、それでも目を逸らさずに美星を見つめている。 「あの、どうか食べてください。小安さんとお付き合いしたくて、本命チョコのつもりで作ったんですけど」    待ち合わせたわけでない、けれど小安は苦楽を共にする旅に美星を誘いに来てくれた。  静寂の中、壁時計の音が美星の耳に届いた。ちどりがわの鼓動は、新しい時を刻み始める。 「ありがとうございます。本当に、受け取っていいんですね。俺の気持ちは、もう止まりませんから」  ようやく喜びを実感した美星と小安は、安堵の溜息を漏らした。
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加