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「美星おねえちゃん、かけこみ乗車セーフ!」
「こら、蓮! この子ったら、ちどりがわではしゃいでばかりで」
石塚蓮は五歳の幼稚園児、母親の千帆は二十六歳の美星より二つ年上だ。美星とは、ちどりがわで顔を合わせるうちに仲良くなった。
幼稚園では臆病な蓮だが、家やこのちどりがわでは腕白ぶりを発揮している。いわゆる内弁慶な所があって、千帆の悩みの種らしい。
「この間も、木に芋虫がいたから園庭で遊びたくないって、駄々をこねちゃって……」
「だって、きもちわるいじゃないか。ぼく、芋虫なんかだいきらい」
客席に来た小安に蓮は主張する。小安はしゃがんで、椅子に座る蓮と目線を合わせた。
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