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「気持ち悪いなんて、言いすぎだよ。自分だって言われたら、腹が立つし悲しいだろう?」
「だって……きらいなんだもん」
「本当は嫌いじゃなくて、怖いんじゃないかな。それはね、似てるけど違う気持ちだよ」
蓮はしばらく考えるうちに、気弱な表情を覗かせた。
「……うん、こわい」
蓮のつぶやきは、幼い頃両親と死別した美里の中にも浸透した。伯父の家で暮らし、食事時ですら居づらい思いをしていた頃があった。
嫌いで片付けるのは簡単だ。美星は居場所を失うのが怖かった。そんな自分を受け入れるまで、どれほど時間がかかったか。
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