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「もしお付き合いできないようだったら、このことは忘れてください。今まで通り、店長とお客様でいましょう。俺は、自分があなたの一番でなくても、あなたの幸せを一番に願っていますから」
一人一人の生き方は違う。隣り合わせのレールを走ってきた列車も、いつかは分かれて去っていく。
そう思っていた今日という駅のホームに、小安が息せき切ってたどり着いた。ちどりがわの店長でなく、その手に人生の鞄を提げた乗客として。
美星は嬉しさがこみ上げて、ぎゅっと閉じた瞼が涙で再び滲んた。
ちどりがわの光が、夜明けのように不安の闇を消していく。
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