第五話 未来を紡ぐダイヤグラム

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「ああ、自分の告白の返事より先に、小安さんの気持ちを聞けるとは思っていませんでした。緊張しすぎましたが、うまく喋れたでしょうか」 「四日も早いバレンタインデーか。俺も、つい特急並みのスピードで告白してしまいました」  その言葉で張りつめた空気が緩み、発車ベルのように笑いの声が響いた。  リボンを解いて箱を開けた小安の顔が、ひときわ輝く。  箱の中には、粉糖をふったチョコレート色のカップケーキが四つ。小さなハート型を、四葉のクローバーのように並べてある。 「素敵なガトーショコラですね。せっかくなので一緒に食べませんか?」  美星が頷くと、小安は箱を持って厨房に入る。しばらくして、皿の上に一つずつガトーショコラを乗せたお盆を運んできた。皿には、生クリームの上にミントの葉を添えてある。  母のレシピから生まれた美星のガトーショコラが、小安の手で夢に形を与えられて、一等星よりも輝いて見えた。
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