32人が本棚に入れています
本棚に追加
天原美星はカメラを手に、道の端から何枚か写真を撮る。誰に見せるためでもない、プライベートな思い出作りだった。
毎日、ジーンズとシャツの組み合わせを変えるだけのカジュアルな服装だ。それでも、普段は結うだけの髪を、下ろしてハーフアップにした。
美人とか可愛いとか言われることはあまりない。けれど「笑顔がいいね」と褒められることは多い。だから、美里はどんな時も明るく振舞うことにしていた。
新しいカフェデビュー、それはちょっとした記念日に違いない。
園辺市に引っ越してきたばかりの美星には、居心地のいい場所を見つけるための冒険だ。
最初のコメントを投稿しよう!