32人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい、モーニングは十一時までやっています。いいですね、ニコンのミラーレス一眼カメラですか」
男性は眼を細めて、美星の手元のカメラを見る。清潔感のあるショートヘアに、引き締まった顔立ちと、生真面目な第一印象だった。
「すみません、勝手にお店を撮ってしまって」
「……大丈夫、むしろ嬉しかったから」
一瞬、彼は屈託なく笑って、美星は毛布に包まれたような温かさを覚えた。
子供の頃、憧れを抱いたお兄さんみたいだ。もちろん親兄弟のない美星にとっては、想像の産物に過ぎないのだけれど。
最初のコメントを投稿しよう!