第一話 夜行列車は、昨日を越えて

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 駅の近く、赤い鉄橋が架かる千鳥川だ。浅瀬で広い川はゆったりと流れ、桜並木の堤が両岸を守る。河川敷ではスポーツ大会やイベントが催されるらしい。  地域猫の一日や、四季を巡る木々の姿、もちろんちどりがわで撮った写真もある。どれも大切な思い出だ。  カフェにはカウンター席と十二の客席がある。美星の他にも、幾人かが午後のひとときを楽しんでいた。  店内中央では、Nゲージと呼ばれるリアルな鉄道模型が、都市のジオラマの上を走行している。小安が経営する鉄道カフェ『ちどりがわ』のシンボルだ。
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