第五話 未来を紡ぐダイヤグラム

1/41
25人が本棚に入れています
本棚に追加
/128ページ

第五話 未来を紡ぐダイヤグラム

 色を重ねた夕暮れが、正月で賑わう町を彩る。  立石駅のホームを、ミッドナイトブルーの列車が滑らかに出発した。暖房で温かい車内の座席は、五割がた埋まっている。  美星は空いた席に腰を下ろし、スーツケースを手前に置いてほっと息をついた。  年末年始を利用して、伯父宅へ久しぶりに戻った。最寄りの立石駅は、同じ路線の千鳥川駅とは一時間と離れていない。  とはいえ、一人暮らしを始めてからは盆と正月に顔を見せるくらいで、これほど長く泊まったのは初めてだった。  高架の上を走る列車内にも、夕焼けが差し込んでいる。向かいの車窓には、温かな光と町のシルエットが流れていく。
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!