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ラジオ体操が終わったら、家に戻って朝食を食べる。
梅とシラスの冷やし茶漬け。みそ汁もついてくる。前夜に父が飲み会だったからか、胃に優しいメニューだ。
「おいしー! 伯母ちゃん料理上手!」
「あら、ありがとうユメちゃん。そう言ってもらえると作り甲斐があるわ」
「おかわりある?」
「はいはい。すぐに作るわね」
もりもり食べるユメに、母も嬉しそうだ。
父が出勤してから、ミチルとユメはテキストを広げる。
マーカーで、各教科の苦手と得意分野に印をつけて書き出していく。
「国語は該当箇所を抜き出す問題は得意なようだから、弱点である漢字の読み書きができるようになると上位に入れるかも」
「えー。漢字苦手。漢字嫌い」
そもそもじっとしていること、問題集が嫌いなようだから、楽しく遊べる感覚でないと覚えないのかもしれない。
ユメの興味のある方向に持ち込むことにする。
「書き方を知らないだけで言葉自体は知っているっていう字は結構あると思うんだ」
「たとえば?」
ミチルは新聞に挟まっていた折り込みチラシを一枚抜き取る。回転すしのフェアお知らせだ。
「ユメは、回転寿司って好き?」
「大好き! 蒸しエビと、あとフルーツ盛り合わせ」
「エビって漢字どう書く?」
「えー? んーー? えび、えび、どうだったっけ。寿司屋で見るけどすぐ思い出せって言われても」
ミチルはノートに海老と書き込む。
「エビの背中ってご老人のように反っているでしょう? だから、海に、老で海老って覚えるとわかりやすいね」
「ふんふん。そっかぁ。海のおじいちゃんね」
「大好きなフルーツ盛り合わせに入っている果物の漢字はいくつ書ける? イチゴ、モモ、スイカ、ナシ」
「モモだけ書けるよ。ほら」
木へんの右側が非になっていて、びみょうに間違えている。
「桃はこうだよ」
桃。横に正しい字を書いて教える。
「じゃあイチゴは?」
「草かんむりに、母って書いて苺」
「お母さんに草かんむり、苺、覚えた!」
好きなものだからかやる気スイッチが入ってくれたようで、食べ物関連の漢字はサクサク覚えてくれる。
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