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選んだ責任を取るのは自分自身
水タバコやトルコランプ、香炉、民族衣装。
世界中の雑貨が並ぶ店内には、ほんのりムスクの香りが漂う。
店の居住部に案内されて、ダイニングキッチンにはアンティークのテーブルセットがある。調度品の一つ一つまでとてもオシャレだ。
腰掛けてからも、ユメは物珍しさで何度も部屋の中を見回す。
歩は慣れた手つきでハーブティーを淹れて、透明なティーカップをミチルとユメの前に出した。
茶菓子にクッキーを添えてくれる。
「どうぞ。ローズマリーティーよ」
「わー、ありがとー!」
「……いただきます」
一息ついてから、歩も自分のお茶を飲む。
今目の前にいる穏やかな雰囲気の歩と、父から聞いていた“後先考えず家出した無鉄砲な男”が同一人物と思えない。
こうして対面する機会を得られたけれど、何から話せばいいんだろう。
ユメが歩を見上げて、いきなり核心をつく。
「ねえねえ歩さんて家出してもちゃんとお店持てたんでしょ。あたしも勉強嫌いだから学校辞めたい。好きなことして生きたい」
「ユメ、失礼な聞き方しないの」
あけすけすぎる聞き方をされても、歩は怒ったりしなかった。
口に手を当てて肩を震わせる。
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