空っぽのミチル

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「ミチル、あのね。あなたもずっと今のままでいいとは思っていないでしょう。三日、三日だけ試してみて、それで無理なら帰ってもらうし、大丈夫そうなら一ヶ月。どうかしら」  一生このままでいいわけではないのはわかっている。  いつかは外に出て働かないといけない。  でも、またあんな風にボロクソに罵られながら働くのはどうしたってできない。  思い出すだけで心臓が冷えて、体が震える。  吐き気がして、両手で口をおおった。  気心れた従妹との三日、たった三日。  それができるなら、まだミチルは起き上がれるかもしれないと、母と叔母が、ミチルの心のリハビリがわりに提案してくれたんだと何となくわかった。 「…………わかった。三日ね」 「ありがとう、ミチル! 沙優とユメちゃんに話しておくわ!」  足音が遠ざかる。きた時よりも嬉しそうな、軽い足どり。  ミチルがたった三日、家庭教師をすると言っただけなのに、母にとってはスキップしたくなるくらい嬉しい出来事なのだ。    ミチルがやり直すための第一歩。  昨日までと違う新しい三日が、始まる。
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