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まず、初代花形結芽は少し設定を変えただけでほぼプリティラブリーなので、二代目花形結芽として生まれ変わらせた。まず、ポニーテールをハーフアップにすることでなんとかイメージ被りを阻止、そして顔つきはたれ目にして優しそうな感じにすればいいだろうか。料理人になりたいという夢はそのまま、具体的目標を持たせた。そしておっちょこちょいというのはまぁ、王道だし残しておいても良いが、それ以外のキャラ付けをどうしよう。あらすじを読む限りでは元気で勇敢な女の子なのだろうと推測できるが、それではオリジナリティがない……。どうしてもプリティラブリーの物語に寄ってしまう。
そんなこんなで、二代目花形結芽の性格が中々掴めずに数日が経ってしまったのである。キャラデザインとにらめっこしていても中々キャラの内面は思いつかないものだ。こうなれば、他のキャラクターを作ってから結芽の性格を決めよう。ずっと座っていた重い腰を上げて本棚に向かって歩き始めた。一番上の段には資料集の類を並べている。その中で一冊異彩を放つものを私は手に取った。こういうキャラを描いてみたいという願望を書き連ねたノートである。パラパラと文字を吟味していく。このノートに残る設定は使いづらさがあるため、いつもテーマに合わず没になってしまう。しかし、その中で、今作のテーマに合致するシチュエーションが一つ目に入ってきた。
『状況:進路指導に熱心な先生との二者面談 生徒「将来の夢……とりあえず、公務員とか会社員ですかね……」』
これだ!
プリティラブリーとは真逆で夢がない少女。夢を追いかける主人公ではなく、夢を見付ける主人公、これならプリティラブリーとは被らない。もちろん、夢がない少女が夢を見付けるなんてありきたりなのは承知している。でも、この設定にした瞬間、私の中で花形結芽が動き出したのだ。
暖房が効いた教室で若い女性教師と桃色の髪の少女が向かい合って座っている。そして結芽は将来の夢について教師から聞かれ、結芽は先生の熱心な姿に呆れる。そして、その後、結芽はパートナーの妖精に「将来のことなんて考えてもしょうがないじゃん」と愚痴をこぼし、妖精から「そんなことを言っていたら夢パワーが溜まらないよ」的な注意をされる。
まだまだ改良は必要とはいえ、やっと花形結芽の物語が始まった。三代目花形結芽、あなたが次の私のパートナーだ。さようなら、二代目花形結芽。もちろん、あなたに魅力がないということじゃない。ただ、あなたを魅力的にしてあげる能力がなかっただけ。
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