転生先神引き?と思ったこともあったような

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転機が訪れたのは10歳の時だった。 「……メグの婚約が決まったよ……」 「え?」 いつだって優しいお父様が、帰宅するなりわたしを自室に呼びつけ、そう言った。 その唐突さに驚きつつ、10歳で婚約って早くない? いや、普通なのか……お兄様はもっと早かったもんね……と、なんとかかんとか冷静を保ち。 (まぁ……結婚は貴族の務めっていうもんね。前世のわたしに結婚経験があったとは思えないけど) 「お相手はアンバー公爵家のご長男、ジョシュア様だ。一月後にあちらの御屋敷で顔合わせを行うと決まってしまった」 「……お父様? 決まりそうじゃなくて、決まってしまった、なの?」 (公爵家って……大公がいないから……王家の次に偉いんだよね?) 「うん……ごめんね」 今日、父は仕事で登城していたはずだ。そこで打診を受けたのだろうか。 どうにも歯切れの悪いお父様にツッコんでみれば、泣きそうな顔になって 「ホントにごめんね。お父様だって寝耳に水だったんだよ! 事前の打診もなく降って湧くって何なのホント! でもアンバー家はめちゃくちゃ偉くて怖いからさ!? 是非にって言われたのを断ったら、この先学園でうちのメグちゃんがイジメられるかもしれないし!? むしろ是非にって言われたんだから大事にしてくれるんだろうし!? 味方にすれば心強いのも事実だし!? でもうちの可愛いメグちゃんに、未来の宰相を支える重圧なんて…………いや、女性社会の上位に立つんだから、上からのストレスはなくなるだろうけど……メグちゃんは全貴族女性のトップに立つに相応しいけど……けどっ……ぅおおおおんっ」 結局泣いた。
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