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悪役令嬢本番スタート
月日は百代の過客にして──、とか、ゆく川の流れは絶えずして──、とか、光陰矢の如し──、とか、前世の国語で習った気がする。そんなことが思い出されるほど、今生の日々はあっという間で、変化に富んでいた。
なんと数ヶ月前に既に、わたしは13歳の誕生日を終えている。
(原作は知らない。でも、多分……いや、絶対、間違いなく……っ)
いよいよ王立学園の入学式を迎え……わたしは一人、何とも言えない感慨にふけっていた。
(……ついに……ついに舞台に足を踏み入れるのね……!)
やっぱり、どんなに頑張っても縦ロールにはできなかったけれど。
高笑いは練習中になぜか家人総出で心配されて、医者を呼ばれ、ベッドに軟禁され……諦めざるをえなかったけど。
少しづつ少しづつ調子に乗っていくように成長して、ゴーイングマイウェイで婚約者に偏執的な悪役令嬢にはなれた! と思っている。
(ここが…………。さすが、絵になるわ)
入校検査で一旦止まっていた馬車が走り出した。
踏み固められた広い並木道の奥に、目指す学び舎はあるらしい。
王立学園は基本的には男爵位以上の貴族の子女が愛国心と団結力を学び、将来のための人脈と結束を結ぶために存在している。
王立だけど費用は高いし、人権やら何やらあれこれ不平等。日本の学校とは求められてる機能が違う。
(初めて聞いた時は「設定凝ってるなぁ、てか、制作陣に設定厨いるでしょ絶対」って思ったっけ)
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