42人が本棚に入れています
本棚に追加
(まぁ、問題は……主人公が結局誰を選ぶかなんだけどね……)
もし主人公がメインルートを行けば、ジョシュア様ルートの悪役令嬢であるわたしはお払い箱かもしれない。その場合は遠くから本編を楽しく拝見させていただこう。シナリオありきだから、ある種、ドラマを見る気分で楽しめる。
ただ……全部のルートでわたしが悪役令嬢である可能性も……ゼロじゃ、ない。
やっぱり原作知らないって、不便だ。
(まぁ……とりあえず悪役ムーブしとけば、外れることはないよね?)
ルートの分岐はいつだろう……?
そんなことをつらつらと考えているうちに、壇上に新入生代表としてマーシャル・アレクス様が上がった。
周りがほぼ無意識に漏らす嘆息と、微妙に変わった空気に、物思いから引き戻れる。
(彼が…………)
ジョシュア様がクール担当で、お兄様が包容力・癒し担当だとすると、アレクス様はキラキラ担当。
(やっぱりね。王子様系イケメン枠か)
艶やかに手入れされた長い髪は、緑がかった銀色で、黒い瞳が美しい。
(傍系といえど、さすが王族……)
マーシャル・アレクス様は、清々しい緊張感が自然と湧くような空気を纏った、王の血筋を名乗るに相応しい少年だった。
……さすがわたし。読み通り。
というか、コレ、わからない方がおかしい。マジで。
もはや疑う余地なんて一片もなく。
これぞ乙女ゲームだ。
確信はあったけど、さらに強く確信した。
最初のコメントを投稿しよう!