悪役令嬢本番スタート

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(まぁ、問題は……主人公が結局誰を選ぶかなんだけどね……) もし主人公がメインルートを行けば、ジョシュア様ルートの悪役令嬢であるわたしはお払い箱かもしれない。その場合は遠くから本編を楽しく拝見させていただこう。シナリオありきだから、ある種、ドラマを見る気分で楽しめる。 ただ……全部のルートでわたしが悪役令嬢である可能性も……ゼロじゃ、ない。 やっぱり原作知らないって、不便だ。 (まぁ……とりあえず悪役ムーブしとけば、外れることはないよね?) ルートの分岐はいつだろう……? そんなことをつらつらと考えているうちに、壇上に新入生代表としてマーシャル・アレクス様が上がった。 周りがほぼ無意識に漏らす嘆息と、微妙に変わった空気に、物思いから引き戻れる。 (彼が…………) ジョシュア様がクール担当で、お兄様が包容力・癒し担当だとすると、アレクス様はキラキラ担当。 (やっぱりね。王子様系イケメン枠か) 艶やかに手入れされた長い髪は、緑がかった銀色で、黒い瞳が美しい。 (傍系といえど、さすが王族……) マーシャル・アレクス様は、清々しい緊張感が自然と湧くような空気を纏った、王の血筋を名乗るに相応しい少年だった。 ……さすがわたし。読み通り。 というか、コレ、わからない方がおかしい。マジで。 もはや疑う余地なんて一片もなく。 これぞ乙女ゲームだ。 確信はあったけど、さらに強く確信した。
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