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事前の通知通り、この後はクラスごとの顔合わせになるらしい。
「A組の皆様、ご案内致します」
ザッと衣擦れの音を立てて、御学友5人がその場に直立した。それから、アレクス様がゆったりと立ち上がり、歩き出す。
(取り巻きって大変……)
一糸乱れず付き従う御学友は、しっかり取り巻き教育を受けて来たのだと察せられた。下手したら、生まれた直後から、今のこの場に至る道を決められて、叩き込まれて来たのだろう。
家のため、名誉のために、平和な学園生活を捨てるとか……うん、貴族のカガミってヤツだね。御学友の弛まぬ努力に拍手。
(あ……あの赤髪のヒト、熱血騎士枠っぽい)
荒削りな美形、とでも表現すればイイのだろうか。それなりに整った御学友の中で、一際異彩を放つ少年がいる。
大柄で、遠目にもマッチョ…………いや、わたし的にナシなだけで、世間的には「男らしい」とか「強靭な」とか言うんだろう……好きじゃないけど。
(やっぱ逆ハーだけは許せないわ。ジョシュア様が筋肉と同列とかナイ。逆ハー狙われたらわたし、役割関係なく完璧なる悪役令嬢ムーブできるわ。うん、自信ある)
考えてても仕方ない──この三年でそう達観するに至ったのに、つい考え込んでしまう。
通り過ぎて行くA組六人を、ご令嬢スマイルで見送りつつ、わたしはついまた悪辣なことを考える。
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