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ジャケットをハンガーに掛けてソファに座る彼。煙草を咥える厚みのある唇に吸い付くことができるのであれば……と考えれば考えるほど、全身の血が巡って体中が熱くなる。
「まぁいいや、先にシャワー浴びていいよ。俺は時間かかるから」
そんな彼に見惚れて欲情していると、彼からシャワーを促されたので、徹史は我に返り、慌ててその場でお辞儀をしては、部屋の右手にあるシャワー室へと逃げ込んだ。
同性同士は異性相手と手順が同じなのだろうか。 千坂曰く、お尻の穴がどうのとか言っていたけど具体的なところまでは分からない。でも、理人さんは全て知っていて慣れているのだろう。だからと言って相手に任せきりのままではいかないだろうし、漸く彼に近づくことができたのに下手だからと幻滅されたくなかった。
浴室を出てからのことを考えながらシャワーを浴びては、ホテルの備え付けのバスローブを羽織る。深呼吸をしてから扉を開けて、部屋に戻ると入れ違いで理人さんが浴室へと入って行った。
理人さんがシャワーを浴びている間、徹史は落ち着いていられるはずもなく、ソファとベッドを行き来する。ソファに居て出迎えるべきか、直ぐに始められるようにベッドで待機しているべきか。後者だと明らかにやる気満々のような気がして彼に引かれてしまわないか心配だった。悩んだ末に、露骨にベッドの上に乗って待つのではなく、ベッドの縁に腰を掛けて待っていることにした。
暫くして理人さんがバスローブ姿で出てくると、此方へ近づいてきたかと思えば、躊躇なく徹史の膝の上に跨ってきたので狼狽える。
「まっ……。理人さん⁉」
「回りくどいのとか嫌いだから、さっさとヤろうぜ」
咄嗟に彼が落ちないように腰を支えた右手が震える。上から見下ろして悪戯に笑みを浮かべてくる彼に胸を弾ませながら、これから誘われるのであろう快感に興奮が止まらない。
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