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「それやったら、お向かいさんのおばちゃんに聞いてあげる!」
そうして、二人であの赤い朝顔を見に行った。
「これは美しい!」
と、感嘆の声を上げる華麿だった。
ドアベルを鳴らして、玄関から出てきたおばちゃんに事情を説明した。
おばちゃんは、華麿をじっくりと見てから、ぽうっと頬を赤くして、
「これ気に入ったん?
大切にしてや?」
と、なんの躊躇もなく、大切にしていた朝顔を手渡してくれた。
華麿は、
「美しい人、ありがたいですな。
これで届けることが出来ます」
そう言って笑った。
華麿を見て、照れてるおばちゃんも美しい。
その後、華麿は白い繭に戻って、何の躊躇いもなく、あっという間に元の世界に戻っていった。あの巨大な白い繭がなくなった瞬間に、夏なのにソメイヨシノが一気に満開になっていた。
私は、一連の事の速度が速すぎて、思考がなかなか追いついていなかった。ただもう一度、華麿に会いたいって思ってた。
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