ある日、白い繭

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 あれ?なんだか繭の一部が緑色に光っているようにも感じるけれど、まぁ、きっとぶつかった時の衝撃で視界がどうにかなったんや。うん。きっとそうや。  帰りは、いつものように着替えるのも面倒くさくなって、作業着のまま家に向かったけど、地下鉄の車内で揺られている間も、やっぱり唇の傷が気になっていた。  家につくと、汗で汚れた作業服を全部脱いで、洗濯機に入れて、それからシャワーを浴びてさっぱりしたところで、冷蔵庫から冷えたミルクセーキのペットボトルの蓋を開けて、一気に飲み干した。 この甘さ、すごく美味しい! それから素麺を茹でて、出汁には缶詰の甘いミカンを入れて食べた。  お腹いっぱいになると、唇の傷のことなんかもうどうでも良くなって、私はエアコンの効いた部屋でうたた寝をしていた。
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