ある日、白い繭

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 長い髪の先を、背中側で赤い紐で括り、頭には黒い烏帽子を被りっている。 ぶかっとした着衣の上はベージュの透かし模様だ。下は袴というか指貫(さしぬき)の青緑のものを履いている。  これって、ひょっとして狩衣(かりぎぬ)ってやつ? 少し切れ長の両の目尻には朱をひいており、唇は目尻よりもやや濃い朱色だ。  今も私の手を掴んでいる腕は、私よりもがっしりしているのに、とても白い。 いや、骨格的に男性に間違いはなさそうだ。  それにしても、ちょっと待って!なに?めちゃめちゃきれいな人やん! 「待てと言ったじゃろうが」  そういう声は、確かに男性の声なのに、軽やかで、鈴が転がるような響きがある。 「えっと……」 あ、あかん……。 どうしてもずっと見てしまう! 目が離せない! めちゃめちゃ美しい! 「(われ)の顔に何か付いておるかの?」  あ、いやそうじゃなくて、目が至福でね。とは言えず、私は掴まれている手を引っ込めつつ、 「あの……あなた誰ですか?」 と聞いた。  すると、 「我は、華麿(はなまろ)じゃ。 初めましてじゃの。星菜(ほしな)」 そう言って、とても美しく笑ったのだった。  なんか、固形の洗濯石鹸で似た名前のがあったよね。そう思うと、指貫の色がそれに似ているように感じる。 いや、そんな事よりも!! この笑顔の破壊力!凄まじすぎる!!
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