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「して、星菜は、なに星菜なんじゃ?」
「私?私は、桂木星菜」
「ほう。
桂木とな。良い苗字じゃの」
そう言って、また美しく笑った。
あぁ……。
もうダメ。完全に心が持ってかれた。
これを何ていうかくらい、私は知っている。いわゆる一目惚ってやつやね。
いやいや!落ち着きなさい?私はそんなに惚れっぽい女じゃないでしょ?私の中の、もう一人の私がそう言って、かろうじて冷静になることが出来た。
「えっと…。
そんな事よりも、あなたは一体なんなん?」
「我か?
我は美しい物や美味しい物を、帝に届けるために、この繭に乗って時間を行き来しているのじゃ。
ちなみにじゃが、我の妹が帝に見初められての。
妹は我儘し放題なんじゃが、兄としては、多少の無理も聞いてしまうというわけじゃ」
なにそれ?帝って、とっても偉い人ってこと?着てる服からすると、平安時代のものに見えなくもない。
妹は帝のお妃様なのか。兄がこんなに綺麗なんやから、妹もさぞかしなんやろうね。ともかく、華麿はシスコンて事は間違いがなさそうやね。
それにしても、この白い繭で時間を行ったり来たりか。とても面白そう。
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