ある日、白い繭

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 とはいえ、どう考えても異常事態には違いがないし、すごく気になっていたのも事実だ。だから、学校に通っている間も、スマホから流れてくる速報が気になって仕方がなかった。 ただ、流れてくるニュースはほぼ一緒のものばかりで、変な期待とは裏腹に、何の進展もなく数日が過ぎていった。  これは、報道規制ってやつ? そんな感じで私達がスマホでやり取りしているうちに、新しい情報もほとんどみられない中で、少しずつ感心が薄れていった。それよりも、流行りのディップチュロスのお店に、いつ行くかで盛り上がっていたことも事実だ。  いつしか季節は、気圧の谷間に挟まれたような、ジトジトとしながらも、身体を四方八方から圧迫するような、梅雨に入る前の特有のだるさを感じる時期になっていた。  これ、盆地特有のものなのだろうか。 湿気と熱をはらんだ風も、圧力を増した重い空気も、雨がざざっと降ってくれるとまだマシになるのだけどね。 それに、祇園祭の前祭の準備が始まる頃には、身体は嘘みたいに軽くなるのも不思議だ。まさしく邪気を払うって感じがある。
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