完全な卑怯者になれたら楽だったのに

2/5
前へ
/26ページ
次へ
「……振られたの、私。福田君に。」 電車に乗って、座って、すぐの一言だった。 駅までの道での無言から、察してはいた。 花のような笑顔が陰っていたのだから。 「彼、好きな人がいるんですって。ずっと前から。」 先輩は泣いていた。 泣いていないって先輩は言うと思うけれど、 瞳に浮かんだ水膜がほろほろと水滴として流れていた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加