ママ、もういちど笑ってよ

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冬になり、雪の予報を聞くようになった。 佑も智もそのたびに一喜一憂しながら雪を待ちわびていた。 初雪の日は予想以上に低気圧が強力だった。大雪で電車が遅れていたので、十分に時間をとって出勤した。まずは保育園に向かうが、膝下まで積もった雪景色に子どもたちは目を輝かせ、雪遊びをしながらなのでちっとも進まない。 二人ともはしゃいで頬が真っ赤だ。 寒さなんて感じないんだろうな…  楽しそうな姿を促しながら待ちながら、立ち止まると指先からじんじんと冷えてくる。雪まみれでふざける二人をようやく預けて、私は駅に急いだ。 迂回してやっとのことで会社に辿り着き、ほっとして仕事に取りかかったのもつかの間、保育園から電話がかかってきた。 熱でも出た? あんなに元気だったのに 急いで電話に出ると、担任の先生の慌てた声が聞こえてきた。 『あの、(たすく)くんがちょっと怪我をしてしまって』 「えっ」 『元気なんですけど、念のため病院に連れて行きますので、お母さんも来ていただけますか』 私は半分上の空で電話を切った。後輩に仕事の割り振りを頼むと、今来た道をまた引き返す。ため息よりも不安が上回っていた。 自宅の最寄り駅からバスに乗り換えるために、改札を出た時だった。 「あれ。こんにちは」 「あ…」 田島さんがスーパーのレジ袋を提げて、こちらへやって来るのが見えた。
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