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「僕は……何の病なんですか?」
病名が判れば薬に頼ることもできる。完治するのは不可能だとしても、症状を和らげるための一助にはなるかもしれない。これからいつ訪れるか分からない死まで長く付き合っていくことになる病なのだから。
「よく聞け、恭治郎。其方の病は……」
ざわざわと木々を揺らして頬を掠めていく風が冷たい。火にかけたように熱くなってぼうっとしている頭のまま、人外の美しさを宿すやまいだれを眺める。ややあって、やまいだれの唇が動いた。
「四百四病の外である」
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