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本編
――我と逢うたこと、他言は無用ぞ。
頭の中でその言葉を反芻する。小川のせせらぎのように透き通る美しい声色が、恐怖を塗り潰し当たり前だった思想に疑念を抱かせる。どんな高価な薬をもねじ伏せる万病をその身に纏い、逃げ惑う生命に容赦なく撒き散らす悪神。
本当にそうなのだろうか。
やまいだれが伝承通りの存在ならば何故、それと接触した僕はまだこうして生きているのか。そもそも、僕は何故あの場所に呼ばれたのだろうか。知りたいことが沢山ある。聞かなければならないことが沢山ある。
どうしてか、そんな気がする。
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