第一話 運命の人、私のもとに落ちてこい!

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私はクズ男しか好きにならないし、クズ男としか交際経験しかない。 幼稚園の時の初恋の先生はこないだ詐欺師としてテレビニュースに出ていた。 小学校の時好きな人に頑張って編んだマフラーを渡したら後で捨てられていた事を知った。 中2で初めて付き合った彼氏は5股していたし、二人目の彼氏は超モラハラ男だったし、ついこないだまで付き合っていた彼氏は束縛が酷く友達と会う時間すらとれなくされた。 そんなわけで次が肝心なのである。 もうクズ男センサー破壊したい! 好きな芸能人だってみんなクズ男だし! 「そろそろお祓い行くべきか?」 「あ、うちのクラスに星詠いるから相談してみたら? 神社の息子の」 「へぇ、星詠くんって同じクラスなんだ。初めて同じクラスになるー」 「あと、和泉様も同じクラスだったよ!」 「へ? また和泉同じクラス?」 「あ、噂をすれば!」 急にクラス発表掲示板の周りでざわついていた人が静かになる。 「和泉くんだぁ。やっぱり今日もかっこいい」 「はぁ、眼福……」 和泉真尋(いずみまひろ)、うちの学校で和泉を知らない人は誰一人いないと断言できる。 議員の息子で顔よし、頭良し、運動神経よしとこの世の全てを生まれながらに手にした男。 和泉が来ると大奥の上様が来たみたいな空気になるからすぐに分かる。 「和泉ー! 私と和泉また同じクラスだってー! よろしくー!」 「あ、愛花っ!」 「本当あいきゃんってマイペース……」 周りが和泉にうっとりする中、私は普通に和泉に話しかける。 うちは中高一貫だし、和泉とも実はずっと同じクラスだったりする。 「そうなんだ。よろしく、夢咲」 「また私の顔見る事になって飽き飽きかもだけどねっ」 「そんな事無いって。夢咲面白いし、きっとクラスがより楽しくなる」 私って和泉の中で面白枠なのか! 「何あの子、和泉様に気軽に話しかけて」 「敬意を払いなさいよ」 周りの女子からは白い目で見られてる。 でも和泉は同じクラスだし、一応長い付き合いだし! 一緒に遊びに行ったりするような仲では無いけど。
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