第六話 ずっと見てくれてたのに。

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「悪い。親から呼び出しくらった。俺、先帰るわ」 「えっ」 「いっつも急なんだよな。じゃあまた明日」 「真尋くん、今日はありがとうございました」 「ホッシー、ちゃんと夢咲送れよな。一応夢咲も女子なんだから」 「一応は余計だしっ。またね、和泉」 和泉、先に帰っちゃった。 「本当は真尋くん、合コンに乱入しようとしてたんですよ」 「えっ」 「何とか僕が引き止めたんですが、何回も様子を見に行って。イライラして落ち着かない様子で同じロックの曲何回も入れて歌って」 「そ、そうだったんだ」 「だから、真尋くんはすごく安心したんだろうなって」 「いつもね、和泉が励ましてたんだ。私が彼氏と別れてへこんでる時」 「本当に真尋くんは夢咲さんが大切なんですね」 「大切……」 「真尋くんにずっと彼女いないの納得です」 えっ? 「確かに和泉、彼女いるって噂は一切聞いた事無いけど」 「本当にいなかったんだと思います。真尋くんくらい人気な人は女の子といるだけですぐ噂になるでしょうし」 「言われてみればそうだね」 「だから、夢咲さんが理由なのかなと思いまして」 「わ、私ーっ⁉︎」 「特別だって自覚無いんですか?」 確かにキスされたし、元カレ撃退してくれたし、いつも私が悩んでると友達皆は気付かないけど和泉だけは気付いてくれてた。 でも女の子選び放題の和泉が私を? 「私って超平凡な女子高生なんだけどな」 「超平凡……?」 「あ、今私に平凡要素ないって顔したね! 確かに変わり者だけどさー」 「夢咲さんって自分が思ってるよりずっと魅力的なんですから。夢咲さんに惹かれる方は大勢いらっしゃいます」 「まあ、ダメンズ引き寄せるって意味ではそうかも」 もはや特殊能力! 「でも、そうでない方もいらっしゃるはずです」 「そ、そうかなぁ」 「夢咲さんは今迄恋愛で散々辛い思いをされたんです。きっとこれからは幸せになれます」 天使通り越して神様だな、この子は。 「祈くんが言うと、本当になる気がする!」 「だから、無理して出会いを探す必要も無いんですよ。出会いなんて自分から探すものでもないですから」 「確かに焦り過ぎてはいたかも」 「すみません、偉そうな事。僕が……夢咲さんに合コン行って欲しくないだけなのかもしれないです」 「えっ!」 「何言ってるんでしょうね、僕。気にしないでください」 彼氏出来たとしても祈くんとは友達のままでいるけどな。 やっぱり今迄友達いなかったから不安になったとか?
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