第七話 学園の王子様が迫りまくってくる件

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「愛花、箸の進み悪くね?」 「この後、体育祭の練習あるけど大丈夫?」 「それが憂鬱なんだってばっ」 「あーね。女子達が睨みつけてくるから」 それはもう慣れたから良いんだけどっ。 告白した人と振った人がペアって状態なんだが! 和泉は振られた事を無かった事にして普通に話しかけてくるし、やたら視線を感じるし。 調子狂う! というかいつもより話しかけてくるような? 「あ、夢咲の弁当今日も美味しそうなのに食べないなんて勿体無いよ」 「出たっ」 「やだなぁ、人をおばけみたいに」 「購買でパン買うからいけないんだよ。ご飯の前に間食はダメってお父さんお母さんに言われたでしょ?」 爽やか笑顔で話す和泉を見て真凜とココは顔を赤らめてるけど……私には分かる。 俺との二人三脚の練習が嫌とかバカなのか、この女って思ってる! 腹黒和泉を知ってる私は他の女子みたいにときめいたりはしない。 「め、メロンパンおっきかったからねっ」 「美味しいよね、メロンパン。俺も好きだよ」 嘘つけ、甘いものあんま好きじゃ無いからってお前がバレンタインにお菓子を私他友人らに分けてるの知ってんだぞ! 真凜とココの前で猫被りやがって! 「あのぅ……和泉さん?」 「何かな」 「祈くんが不安そうにこっち見てるけど」 祈くん、タカちゃんとゴンさんのノリについてけないんだろうなぁ。 あの二人すごく仲良いし、ずっとボケとツッコミを繰り返してるというか。 私や和泉はそんな二人のやり取りを笑いながら見てるけど、あの二人とまだ出会ったばかりの祈くんは疎外感を感じるだけだ。 「可愛いな、ホッシーは。俺の事大好きなのかな」 絶対面白がってるよね、こいつ。 「戻ってあげなよ。和泉がいる事でバランスが取れるんだから。和泉が行かないなら私がっ」 「大丈夫、戻るし。あ、そうだ。お弁当食べ切れないなら貰うけど」 「う、うん」 「夢咲のお母さんが作ったんだよね?」 「当たり前じゃん」 「そっか。残念、夢咲の手料理が良かったな」 いや、今あからさまに安心した顔してるし。 「私の料理が壊滅的なの知ってるくせにっ」 「夢咲が作った料理なら何でも食べられるよ」 「ま、真凜。今の聞いた?」 「やばっ」 和泉の甘い発言にココ達はきゃあきゃあ言ってる。 「お母さんの料理だけどどうぞ」 「箸あっちに置いてきちゃったから食べさせて貰っても良いかな?」 「取りに行けば良いじゃんっ」 「戻ったらタカに捕まるし」 「うっ……じゃあ唐揚げを」 私は和泉に唐揚げを食べさせる。 彼氏にした事はあるけど、和泉相手はなんか嫌っ!
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