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「うまっ」
「で、でしょー! 私のお母さん超天才っ」
「で? 唐揚げだけ?」
「やっぱり体育祭の練習でお腹空きそうだからここまでっ」
「分かった。戻る事にするよ」
「は、早く戻れっ」
あぁ、また女子達の反感買ったって!
「やっぱり和泉くんってあいきゃんラブ⁉︎」
「だよね。愛花に心許してる感あるよ」
「な、無いからっ! 友達ならではのノリだしっ」
「本当かなぁ?」
「いい加減ああいう素敵な人を彼氏にしないとだよ、愛花」
素敵な人って!
「和泉を好きになったら負けだからっ」
「何と戦ってるわけ」
「ミーハーみたいで嫌じゃんっ」
「でも友達から彼氏って全然あるから」
いやいや、今迄一回も意識した事ないしっ。
でも、和泉はずっと違ったんだもんね。
「ま、真尋くん。おかえりなさいっ」
「俺がいなくて寂しかったんだね、ホッシー。よしよーし」
「や、やめてくださいっ。恥ずかしいですっ」
「二人ともホッシーを置いてけぼりにしたらだめだよ」
「悪い悪い!」
「すまなかった、星詠」
「だ、大丈夫です。帰ったらツッコミの勉強します」
「ホッシーは真面目だねー」
和泉はタカちゃん達のところに戻っても平然としている。
あーんなんて恥ずかしさの極みな事した後なのに。
和泉はいつも余裕だ。
本当にあいつ、私に振られたのか?
もしかしてドッキリ⁉︎
放課後になったらドッキリ看板持ったタカちゃんが現れたりしない⁉︎
「言っとくけど、ドッキリじゃねぇからな」
体育祭の練習が始まって早々に和泉は私の期待を打ち砕いてきた。
「な、何で私の考えてる事分かったの⁉︎」
「何となく。お前ってすぐそうやって自分の都合の良いように解釈しそうじゃん」
「ば、バレてた」
「体育祭の練習憂鬱って騒いでたのに今安心しきった顔してるし」
和泉に隠し事は無理だ!
「和泉も特殊能力者? 祈くんみたいに」
「は? ねぇよ、んなもん」
「和泉にだけはいつもバレるんだよね。私の感情」
「だから言ってんじゃん。お前が好きだから分かるんだって」
「す、ストレートに言うのやめてもろて」
「お前はバカだから口に出さないと伝わらないだろ」
「ば、バカッ⁉︎」
「ほら、練習っ」
「どんな気持ちで練習したらいいの、私は!」
「困れ困れー」
くそ、和泉になんかドキドキしてたまるかっ。
私は絶対和泉を好きにならない!
今迄だってそうだし、なんか悔しいから好きになりたくない!
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