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「ちょっと! また転んだじゃん! いい加減上手くなってもらわないと困るんだけどっ」
「も、申し訳ありません」
あ、祈くんがペアの女子に怒られてる。
「和泉⁉︎」
「そんな言い方したら余計プレッシャー感じて上手く走れなくなっちゃうよ」
「い、和泉くん⁉︎」
「運動苦手なりにホッシーは頑張ってるんだからさ。慣れるまで付き合ってあげて欲しいな」
和泉は怒っている彼女の手を取り、優しく微笑みながら言った。
「は、はい! 和泉様っ」
あーあ、あの子完璧に和泉の演技に騙されてる。
「す、すみません。真尋くん」
「本番中転んでも気にしなくていいって。アンカーの俺と夢咲で巻き返せるから」
和泉ーっ⁉︎
あいつの自信は一体どこから。
「ありがとうございます。二人は息が合いますもんね」
「そうそう。長い付き合いだし、お互いをよく理解してるんだよね」
いや、私は和泉が全く理解できてない。
裏の姿知ったのも最近だし!
「私らに任せてよ! 祈くんっ」
「心強いですね」
あれ、和泉と私で励ましてもまだ暗い……?
「そうだ。体育祭が終わったらまた甘い物食べに行こ?」
「甘い物、ですか?」
「うん。でもおっきめのパンケーキだから一人じゃ食べ切れる自信無くて。祈くんが手伝ってくれたら助かるかな」
「おっきなパンケーキ……フルーツ沢山のですか?」
「たくさんだよー!」
「ぜひ、行きたいです!」
「楽しみが出来たら頑張れるよね?」
「はい、やる気出てきました」
「良かった! やっと表情明るくなったね!」
すごく嬉しそう。
本当に甘い物が大好きなんだなぁ。
「夢咲さんといると僕、いつもより元気になれます」
「えっへん! 私はクラスのみんなに元気を与えるのが使命だからねっ」
「やっぱり僕にとって夢咲さんは特別みたいです」
「ありがとうっ! 私、祈くんの一番最初の友達だもんねっ」
「はい」
「特別貰いましたーっ」
「ホッシー、俺はー?」
「あ、はい。真尋くんも特別です」
「目逸らさないで俺の目を見て言ってよ」
「す、すみません」
やっぱりまだ和泉にはちょっとびびってる?
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