第七話 学園の王子様が迫りまくってくる件

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「ちょっと! また転んだじゃん! いい加減上手くなってもらわないと困るんだけどっ」 「も、申し訳ありません」 あ、祈くんがペアの女子に怒られてる。 「和泉⁉︎」 「そんな言い方したら余計プレッシャー感じて上手く走れなくなっちゃうよ」 「い、和泉くん⁉︎」 「運動苦手なりにホッシーは頑張ってるんだからさ。慣れるまで付き合ってあげて欲しいな」 和泉は怒っている彼女の手を取り、優しく微笑みながら言った。 「は、はい! 和泉様っ」 あーあ、あの子完璧に和泉の演技に騙されてる。 「す、すみません。真尋くん」 「本番中転んでも気にしなくていいって。アンカーの俺と夢咲で巻き返せるから」 和泉ーっ⁉︎ あいつの自信は一体どこから。 「ありがとうございます。二人は息が合いますもんね」 「そうそう。長い付き合いだし、お互いをよく理解してるんだよね」 いや、私は和泉が全く理解できてない。 裏の姿知ったのも最近だし! 「私らに任せてよ! 祈くんっ」 「心強いですね」 あれ、和泉と私で励ましてもまだ暗い……? 「そうだ。体育祭が終わったらまた甘い物食べに行こ?」 「甘い物、ですか?」 「うん。でもおっきめのパンケーキだから一人じゃ食べ切れる自信無くて。祈くんが手伝ってくれたら助かるかな」 「おっきなパンケーキ……フルーツ沢山のですか?」 「たくさんだよー!」 「ぜひ、行きたいです!」 「楽しみが出来たら頑張れるよね?」 「はい、やる気出てきました」 「良かった! やっと表情明るくなったね!」 すごく嬉しそう。 本当に甘い物が大好きなんだなぁ。 「夢咲さんといると僕、いつもより元気になれます」 「えっへん! 私はクラスのみんなに元気を与えるのが使命だからねっ」 「やっぱり僕にとって夢咲さんは特別みたいです」 「ありがとうっ! 私、祈くんの一番最初の友達だもんねっ」 「はい」 「特別貰いましたーっ」 「ホッシー、俺はー?」 「あ、はい。真尋くんも特別です」 「目逸らさないで俺の目を見て言ってよ」 「す、すみません」 やっぱりまだ和泉にはちょっとびびってる?
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