第七話 学園の王子様が迫りまくってくる件

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「祈くん、その調子ーっ! ペース保ててるよっ」 「は、はいっ」 気付いたら私は祈くんの練習する姿を見ていた。 「おい、俺らの練習は」 「私らなら余裕なんでしょ?」 「ふん」 「祈くんってなんか応援したくなるんだよね」 「まあ、あいつは何に対しても真面目に考えて一生懸命やるタイプだもんな」 「クラスの皆に祈くんの素敵さ伝わればいいのに」 「相変わらずお人好し」 「だってほっとけないんだもんっ」 「あいつばっか見てんじゃねぇよ」 「ん? 何か言った? 和泉」 「別にっ」 なんか不機嫌? 小声で皆にバレないようにとはいえ、さっきから和泉……私に話しかける時は裏モードだ。 いつもの爽やかうさんくさ王子キャラでいてくれた方が気が楽なんだけどな。 「ゆ、夢咲さんっ! 転ばずに走り切れましたっ」 「やったね、祈くんっ」 走り終えた祈くんと私はハイタッチする。 「ありがとうございます。僕にも出来ました! 二人三脚っ」 「本当良かった良かった」 「お二人が見てくれたから頑張れたんだと思います」 すごく嬉しそう。 他のクラスの奴ら蹴散らして一位とってやるって意気込んでた和泉と私なんかとは大違いだ! 「祈くんはずっとピュアなままでいてね。私らみたいなクズになったらだめだからねっ」 「おい、俺をクズにカウントするな」 「クラス一のクズのくせにっ」 「じゃあ、いい加減早く俺への気持ち自覚しろ」 「私がクズみんなに惹かれると思ったら大間違いなんだからねっ」 「僕は……ピュアなんかじゃないです」 「へ?」 「すみません。練習に戻りますね」 「あ、うん」 祈くんがピュアじゃない……? どういう事? 「はぁ、体育祭練習ある日は超疲れるっ」 「そうだ、あいきゃん! 彼氏探しってまだ継続中?」 「ん? そうだけど」 放課後になると、私はココに遊びに誘われた。 「次の日曜日さ! 他校の友達が男子呼ぶからさ……」 「えっ。私が参加しても良いやつ?」 「あいきゃんの話したら友達みんな会いたがるの」 「私、ココの友達らの中で変な奴認定されてない?」 「超変な奴認定されてんね!」 「変なイメージ植え付けるなしっ」 会ったら爆笑されかねんっ。 あれ、日曜日って……。 和泉から誘われてた日! 半ば強引にだけど。 「確定でよき?」 「だめっ! 日曜日予定あった!」 「そうなの?」 「ごめん、また」 「そっかぁ、残念っ。じゃあ、真凜は?」 「私はいい。間に合ってるし」 「ああ、真凜は好きな人いるもんねっ」 ああ、男子バレー部の田中先輩かぁ。
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