第七話 学園の王子様が迫りまくってくる件

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「ゴンが言わないなら俺も皆に内緒にするから安心してよ」 「真尋、せめて俺にはっ」 「タカはお口がちょっと軽いから言わない」 「えーっ!」 しかし、タカちゃんとゴンさんといる時の和泉はずっとニコニコしてるなぁ。 それが不気味に感じてきたな。 本性を知ったばっかりに。 「てか、そろそろ部活行かなきゃじゃない? タカ」 「やばっ! 行ってきまーす!」 タカちゃんは慌てて部活に向かった。 「たまには三人で帰る?」 「お、良いじゃん! 珍しいメンツ」 「真尋、俺もいて良いのか?」 「何が?」 「いや……」 「た、ただいま戻りましたーっ」 「あ、祈くん!」 「じゃあ、四人に変更だ」 祈くんも合流し、四人で帰る事に。 なんか謎メンツ……。 「どの先生が転職を考えているかとかうちの学校がいかに大変な職場か分かってしまい……複雑な気持ちになってしまいました」 「お疲れ様、祈くん」 「転職を考えてる先生とは」 「ゴン、詮索しちゃだめ」 「そういえば、母ちゃんがホッシーの父ちゃんのファンだ。サインくれ、このノートに」 「さ、サインですか⁉︎」 「父ちゃんが無理ならせめて息子のサインを」 「ただの男子高生なんですけど、僕」 「うちの魚安く売るから」 「そ、それは助かりますっ」 ゴンさんと祈くんってどっちも天然だから合うんだなぁ。 「やっぱり星詠だからサインに星描くんだ」 「は、恥ずかしいからまじまじと見ないでください! 権助くんっ」 「家宝にする」 「そういえば、ゴンさんは今日部活行かないんだ?」 「父ちゃんが腰痛めたから家の手伝いで特別に休ませて貰ってる」 「大丈夫なの⁉︎ お父さん」 「安静にしてれば大丈夫だって」 「良かった! ゴンさんが手伝ってくれたらお父さんも心強いね」 「でも部活休む事になったから」 「ゴンさんは野球部からもお家からも頼りにされてすごいよ。まさにヒーローだねっ」 普段から野球部の無い日は休まず家の仕事手伝ってるって言ってたし。 頼もしいなぁ。 だから、うちのクラスで一番落ち着いて見えるのかも。 「夢咲は大袈裟」 「そ、そうかな⁉︎ ヒーローってワード嫌⁉︎ かっこよくない⁉︎」 「そういうので喜ぶのはタカと夢咲くらい」 「タカちゃんと同列は嫌だなぁ」 単純みたいじゃんっ! 「でも、なんか救われた。野球部休むの気にしてたから」 野球部でエースだからプレッシャーあるんだろうな。 「もしかして権助くんも……?」 「あはは。ホッシーって俺と同じくらい鋭いよね。夢咲だけ無自覚なんだよね。今の状況が修羅場って」 「和泉、祈くん? 何の話してるの?」 「鈍い夢咲には内緒だよっ」 また鈍い言われた⁉︎ やっぱりゴンさんがいると本性を知ってる私と祈くんがいても爽やか王子モードなんだなぁ。 腹黒和泉のが落ち着くかも……? だめっ! 和泉に反応するなよ、私の中のセンサー!
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