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②悦美先輩との出会い
どうしてこんな会社に入ったのだろう。
そんな思いにかられている。
朝の通勤もろくな考えが浮かばない。
キラキラしたOL生活、金曜日は友達とご飯、
休みの日はショッピング…そんな事はただの妄想に過ぎない事にすぐに気付いた。
そんな会社で、唯一ラッキーな事といえば私の座る場所。アパレルの会社なので、事務所と店舗に別れている。店舗といっても、一般の人は入れないので(卸なので)、業者の人が来る所。そこで、ショーも開催する。
その店舗の奥に受付の場所があり、そこは代理石で出来たテーブル。顔だけひょこっと見える状態。そこの2人しか座れない場所に私が座っている。そこに私を推薦してくれたのが、悦美先輩だった。
何故、推薦してくれたのかは不明だが、事務所で威張る課長や、へこへこする下っ端や、この席はいろいろを見なくて済むのだ。
悦美先輩は、自己紹介の時にこう言った。
「初めまして。本田 悦美です。本田のほんは普通のほん。たは田んぼのた。えつは、快楽のかいの字。みは美しい。なの」不思議な説明だなぁと、ぼんやり聞いていた。悦美先輩は、エキゾチックな顔立ちで小柄、少し小悪魔風な感じもした。でも、話してみると気さくで、とても感じの良い人だと思った。
そして私に「先輩って言わずに、悦美さんって呼んでね」と笑顔を投げかけてきたのだった。
そうして、私は悦美さんの隣のゴージャスな席に座る事となった。
彼女に洗脳される事など、その時は全く考えていなかった。
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