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ようやく、自分のことを分かってくれる人が現れた。
視たくないものを視てしまうあの恐怖。
今まで誰に相談しても理解してもらえず、親でさえ、どうすることもできなかった。
「でも、なぜ私が霊感体質だと分かったんですか?」
「この間、君が手に取った指輪を覚えているか?」
「赤い石の指輪ですよね。素敵だから欲しいなあって」
紗紀は指輪を見つけた辺りの棚に視線をやる。が、一空の次の言葉に顔を強ばらせる。
「あの指輪は持ち主に不幸を呼び寄せる呪いの指輪だ」
「呪いって、まさか……」
「声が聞こえただろう。恐ろしい映像も視えた筈だ。声は指輪に込められた、元々の持ち主の恨み。そして、静森さんが見た映像は、その後、指輪を所有した者たちが指輪の呪いによって悲惨な末路をたどった姿。指輪には、特に女性の強い念がこもりやすい。こういった場所ではあまり手にしないのが無難だ。手にした途端、この間のように指輪に込められた強く深い思念で身体の不調をきたすことがある」
「えっと……」
そんな指輪に惹かれ、手に取ってしまったとは恐ろしい。
いや、そもそもそんな物を普通に店に並べている方がどうかしている。それも、持ち主が呪い殺されると知って売るとは、もはやそれは犯罪ではないか。
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