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「霊感の強い静森さんは、あの指輪を手にし、その思念に影響を受け倒れた。霊感体質ならではだ。それよりも、また話がずれてたな。静森さんが強引に押しつけていったこの簪。簪を手にするようになってから不可思議なことが起こるようになった。そのことについてだが」
「待ってください。私、簪については何も言っていないと思うんですけど。女の霊のことも、どうして分かったんですか」
「ワケありのものだと思ったから、手放したかった」
「そうだけど。確かにそうだけど……」
「だから、僕に押しつけた」
「……すみません。じゃあ、女の霊のことは?」
「そうだな。それは最後に説明しよう。まずは、話を聞こうか」
紗紀は簪を手放すことになった経緯を、一空に語ることとなった。
「なるほど。その女の霊は、静森さんに何かを伝えようとしているというわけか」
「いいえ、何かを言っているような気はするんだけど、姿が視えるだけで何を言っているかまでは、私には聞き取れなくて」
相手が何を望んでいるのか理解できれば、解決方法も見つけやすいのに。
「その女の霊は現れるたび、恨みのこもった目で私を睨み、それどころか、私を呪い殺そうと……」
「呪い殺す?」
「私、あの女性の霊に殺されるかも。だって、家族が……家族に次々と不幸が起こるようになって、最後は私の番」
一空はため息をつく。
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