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「この簪のせいで、身辺に不幸が起きるようになったというのだな。かわいそうに」
「はい……本当に辛くて」
紗紀は目に涙を浮かべた。
悩んだけれど、伊月さんに相談してよかった。
暎子も理解してくれたし相談にのってくれたけれど、彼女はただ単に心霊好きなだけで、悩みを解決してくれることはできない。
嫌味で苦手な人だと思ったけれど、やはりここに来たことは間違っていなかった。
目の前にいる伊月一空は、超有名な霊能者。
助けてもらえる。
これで、普通の日常を取り戻せる。
次のアパートを探さずにすむ。
が、次に出た一空の言葉に、紗紀は目が点になった。
「かわいそうと言ったのは、静森さんのことではない。勘違いするな」
「は?」
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