3 心霊番組に映っていたのは!

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「この簪の持ち主であろうその女性の霊を憐れんだのだ」  そんなばかな!  呪われて殺されそうになる私よりも、呪い殺そうとする悪霊のほうに同情するなんて。  ぽかんとする紗紀の前で、一空はやれやれとため息をつく。 「まったく。そうやって、すべて霊のせいにする奴がいるから困ったものだ」 「でも、女の霊が現れて」 「その女は、願いを聞いてもらおうと現れただけ」 「願い? 呪いではなくて?」  紗紀は首を傾げる。 「自分の姿が視える人が側にいる。もしかしたら今生に残した未練を聞いてもらえるかもしれない。そう思い、姿を現したというのに、その相手は願いを聞いてくれるどころか、悪霊扱いされ、さらに無慈悲なことに大切なもの、すなわち、この簪を売り飛ばそうとしている。ひどいものだな」  口調は丁寧だが、棘のある言い方だ。  きれいな顔をしてこの人、しれっときついことを言うのね。 「後ろを振り返ってみろ」  命令口調にムッとしたが、言われるまま後ろを振り返る。 「ひっ!」  紗紀は悲鳴を上げた。  すぐ後ろに、着物を着た女性がたたずんでいたからだ。
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