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「へえ、そうだったんだ。それで、それで?」
駅前のカフェに場所を移し、本日のケーキセットを食べながら、紗紀は昨夜起きた出来事を暎子に話して聞かせた。
ばかばかしいと一笑されるかと思いきや、暎子は話にどんどん食いついてくるうえに、嬉しそうだ。
幽霊を信じると言ったのも、嘘ではないらしい。
紗紀も今日初めて知ったのだが、暎子は大の心霊好きでオカルトマニアだったのだ。それで、紗紀の話に飛びついてきたというわけである。
「まさか、紗紀とこんな話ができるとは夢にも思わなかったよ。っていうか、紗紀に霊感があったなんて知らなかった」
と、声を弾ませている。
「初めて他人に話したからね」
「何で隠していたのよ」
隠していたわけではなく、言う必要がなかったから。そもそも霊感があります、なんて普通は言わない。いや、言えない。
そう、紗紀は子どもの頃から普通の人には見えないものが視えるという、霊感体質であった。
もちろん視えるだけで、昨夜のように霊が何かを訴えてきても、何もしてあげることはできない。
本当にただ視えるだけ。
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