1 呪われたかんざし?

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「へえ、そうだったんだ。それで、それで?」  駅前のカフェに場所を移し、本日のケーキセットを食べながら、紗紀は昨夜起きた出来事を暎子に話して聞かせた。  ばかばかしいと一笑されるかと思いきや、暎子は話にどんどん食いついてくるうえに、嬉しそうだ。  幽霊を信じると言ったのも、嘘ではないらしい。  紗紀も今日初めて知ったのだが、暎子は大の心霊好きでオカルトマニアだったのだ。それで、紗紀の話に飛びついてきたというわけである。 「まさか、紗紀とこんな話ができるとは夢にも思わなかったよ。っていうか、紗紀に霊感があったなんて知らなかった」  と、声を弾ませている。 「初めて他人に話したからね」 「何で隠していたのよ」  隠していたわけではなく、言う必要がなかったから。そもそも霊感があります、なんて普通は言わない。いや、言えない。  そう、紗紀は子どもの頃から普通の人には見えないものが視えるという、霊感体質であった。  もちろん視えるだけで、昨夜のように霊が何かを訴えてきても、何もしてあげることはできない。  本当にただ視えるだけ。
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